10都府県に出されていた緊急事態宣言が、医療関係者からは感染者数に懸念がある中、関西と東海と福岡県の6府県が、首都圏を残して2月末で解除された。
在宅でテレビを見る機会が増える中にあって、ニュースになる犯罪があまりにも多いと感じている。殺人事件も多く、中でも、わが子3人を殺して自分も飛び降り自殺を図るなど無理心中とも思われるような、悲惨な出来事が報道されていた。
それぞれに事情はあるにしろ、人を殺めないで、自らも死なない方法があるはずである。
あおり運転が厳罰化になったが、相変わらず起こり続けている。カッとなるのか、切れるというのか、変な自尊心が邪魔をしているのか、映像を見ても、あまりにも無謀で卑劣で自分勝手な行為にあきれるばかりである。
新型コロナウイルス禍は特別誰かに降りかかるわけではなく、多くの人が我慢を強いられている。自粛期間は出張もなく、観光誘客に大きな影響を与えるNHK大河ドラマを見ることができる。
余韻を残し、感動的な終わり方をして視聴率も高かった「麒麟が来る」に続いて、新しく1万円札の肖像になる予定の渋沢栄一氏の生涯を描いた「青天を衝け」が2月14日から始まった。
激動の幕末から明治にかけて、家業の養蚕と藍玉製造から、15代将軍・徳川慶喜の家臣としてのヨーロッパ視察、明治政府の大蔵省勤務、銀行や鉄道、製紙や製鉄など、今日でも基幹産業であり、優良企業を含む500社を超える企業と、学校や病院、社会福祉施設など600以上の社会事業に関与したとのこと。その先見性と幅の広さと業績の数の多さに感嘆するばかりである。
まさに、日本の近代資本主義の生みの親ともいえる実業家であろう。正義感と驚くべき行動力である。その根底にある理念は、幼少の時から学んでいた論語に起因し、忠恕(ちゅうじょ)のこころを持って、「企業の目的が会社の利益追求にあるとしても、その根底には道徳が必要であり、国や人類全体の繁栄に対して責任を持たなければならない」とする道徳経済合一説による日本経済の発展である。
ドラマの開始に合わせて2月16日にオープンした埼玉県深谷市の「渋沢栄一 青天を衝け 深谷大河ドラマ館」や渋沢栄一記念館、旧渋沢邸(中の家)などを訪れると、その偉大さを改めて確認することができる。
今日、理念なく場当たり的であったり、正義をはき違えていたり、その場の空気すら察知できない政治家や官僚が多い中で、渋沢栄一に学ぶところはあまりにも大きい。テレビの画像からは、幼少時代を過ごしたかやぶき屋根の豪農の家屋、その前に広がる広大な面積の桑畑と藍畑は圧巻である。今時このような広大な面積のオープンセット(群馬県安中市)は他に類を見ないものである。
家屋の内部は、都内のスタジオのほか深谷の大河ドラマ館にも再現されており、私の幼少の時期と変わらない生活様式が懐かしく感じる。観光が動きだしたら、当地を訪れ近代日本の経済、教育、福祉などのルーツを学ぶべきであろう。