新型コロナウイルスの感染防止対策で、感染者が直前の1週間は増え続けている中で、首都圏4都県に出されていた緊急事態宣言が2週間の延長後の22日で解除となった。その間、何か施策が打たれたのか、対策が進んだのか、素人目には何も変わらず、感染者が減らなかった2週間であった。
国会では、一つの省にとどまらず、いろいろな企業が関わり、どの省庁の誰が接待を受けているのか、官僚のみならず大臣まで疑惑が及んでいる。この様子では飲食接待が常態化しているのではないかとも思える。コロナ禍で政治家や官僚が浮世離れしている感が否めない。
感染原因比率が高いとされている飲食店が時短営業を強いられ、経営が厳しくなっている。観光のバスツアーや修学旅行生など団体の食事場所となっている地方のドライブインなどは、いくつも廃業に追い込まれている。19日には32県の知事から政府などに、中断しているGo Toトラベルキャンペーンの段階的な再開の要望書が出された。緊急事態宣言の解除は地方の観光にも大きく関係してくる。
1年間もの経験からの学びは、モグラたたきゲームのように起こったことに対処するのではなく、給付金や協力金もなくてはならないものだけど、財源は先を見越し、徹底的な検査体制とワクチンの早期実施である。
安心安全で大手を振っての行動ができる基盤づくりが対策であり、求められている政策である。それとセットでのGo Toトラベル再開が望ましい。さもなければ、リバウンドや第4波の懸念がぬぐいきれない。
また、持ちこたえたり、生きるのに大変な状況下ではあるが、あまりにも、観光業界はGo Toトラベルの割引や旅行会社の事務局への派遣日当に頼りすぎると、それがなくなった時の反動の大きさも経験しているはずだ。
お金で動機をつくることから、時間の観念や田舎の魅力など価値観が大きく変わり始めているウィズコロナやアフターコロナを見据えて、魅力創造で旅行需要の拡大を図る努力をすべき時である。
前述のドライブインの件も、バスツアーでも修学旅行でも、数十人から数百人が同じ場所で食事する必要はない。また、上げ膳・据え膳で食べるだけでなく、農山漁村の食材生産現場の収穫から調理まで体験で行うことで、鮮度も味も裏切らないし、交流機会も増えて、大きな付加価値となる。顧客満足度も高い。
地域は地産地消が徹底し、食品ロスの軽減と経済効果につなげることもできる。2030年のゴールを目指す「SDGs」も、地球環境と人間社会の共生を考え、体験活動を通じて学ぶ機会を旅の目的とする商品企画や教育旅行に取り入れるべきである。
そして、地方や社会に貢献する意識醸成と行動の場として、旅の品格を上げることが旅行業界の使命である。さらに付け加えれば、その商品は地域と連携して、自社のオリジナルカスタマイズプログラムとし、同時に収益構造の大改革が急務であり、それが双方の生き残り戦略でもある。