【体験型観光が日本を変える209】検査費用補助し、積極的に実施を 藤澤安良


 新型コロナウイルスによる感染者は増加の一途をたどり、「まん延防止等重点措置」を計10都府県に適用することが決まった。緊急事態宣言時よりも感染が拡大している地域もあり、緊急事態宣言に戻るべき時でもある。

 例年なら人流が活発になるゴールデンウイークも自粛を余儀なくされる事態である。1年半近く苦しんできた観光関連事業者にとっては書き入れ時のはずの時期に人が動かなければ、死活問題等と口で言うだけでは収まらない。

 頼みの綱のワクチンは予定より大幅に遅れ、PCR検査、ワクチンとも先進国中では最も遅れをとっている。オリンピックの開催を100日後に控えて国民の不安と不満が増幅している。

 昨年5月13日に厚生労働省はキットによる抗原検査を承認している。普及速度が遅いのが残念である。感染者が全く出ていない地域に感染者が多い地域からの旅行会社や学校職員などの下見や視察を受けているが、熱や症状がなくても心配はなくならない。

 そこで、到着後ただちに、15分程度で結果が判明する抗原検査(数千円)を実施しており、陰性を確認後に行動を開始することにしている。

 精度の課題はあるが、それを言えばPCRもワクチンも完璧でないことから、抗原検査キットでもいったんは安心の度合いが上がる。私も説明書の通りの手順で検査をしたが、鮮明に陰性であることを示すのを確認することができた。

 一方で、日本航空は国内線の搭乗者を対象に、航空券購入者のうち希望者に1回2千円でPCR検査サービスを開始した。また、大人数での会食の自粛が叫ばれる中、シティホテルの宴会や婚礼、あるいは企業の会議などの復活を目指すべく、プリンスホテルは新宿プリンスホテル内に医師が常駐するPCR検査施設を開院し、検査付きのサービスを提供し、業績の回復を目指す。

 不安と不満の中で待っていても打開できない今、安心安全は自らがアクションを起こしてつかみ取るしかないようだ。政府の手が回らないなら、抗原検査やPCR検査を行う企業や組織に対しての費用の補助を積極的に行うべきである。

 連日感染者が千人を超える大阪では学校での部活が禁止となり、その上、今年も時期の延期はあっても、修学旅行がまともにできないとなると、とてもかわいそうなことになる。さらには、旅行会社も受け入れ側も大打撃を受ける。2年も続くと持続できない組織もたくさん出てくる。

 ワクチンパスポートの見通しが立たない今、出発前日または当日の検査で陰性で出発する仕組みを構築すべきである。修学旅行生はGo Toで安くなるより、検査で安心の方が優先されるべきであり、その財源は国家で検査費用に回すべきである。

 当面は、まん延地域へ行くのは難しいことからも、行き先変更はあっても泊数減や日帰りにならぬようにすべきである。この機会に、旅行業界も受け入れ地域もSDGsのプログラムを提供し、社会の課題と向き合い、社会や地方を深く知り、その関わりを深める好機としてほしい。

 
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