【体験型観光が日本を変える213】明るい未来のための準備を 藤澤安良


 新形コロナウイルスの感染拡大は収まる兆しは見えず、緊急事態宣言が新たに沖縄にも適応され、まん延防止等重点措置と合わせて、対象は18都道府県で約38%だが、人口では日本の約69%にも上っている。それは都市に人口と同時に感染者も集中していることになる。

 人流抑制と言いながら、人の移動こそが観光である。その観光をはじめ、大きく経済に影響が及んでいる。

 感染者がほとんどいない地方の田舎も、観光客受け入れ先として大打撃を受けている。政府はワクチンの普及が切り札と言うが、それ以外の医療体制の充実や、検査の拡大、休業や時短などの補償の充実等の札ももっと切ってほしい。いくつもの切り札が重なってこの国難を乗り越えられることになる。

 そんな中、24日からワクチンの大規模集団接種を防衛省管轄で自衛隊が担うことで東京と大阪で開始された。1日1万人単位で接種が進んでいくことは待ち望んでいた状況に近づくことであり期待が膨らむ。同様なシステムやコロナ指定病院以外や最寄りの医院、あるいは診療所などでもワクチン接種を可能とし、低年齢層まで及ぶことが収束への早道である。

 しかし、予約に当たっては二重予約、虚偽予約、番号相違での予約など混乱が起こっている。それらは予測されたことであり、回避するシステムを開発して実施すべきであった。サイバー攻撃や顧客情報の大量流出が相次ぐ中、国家を守る防衛省の仕事としては心もとない。

 その防衛省はネット予約限定、地方自治体でもパソコンやスマホなどのネット予約が多いが、65歳以上優先と言いながら、その予約手段の機器を持たない人が特に多い年代でもある。高齢者をサポートする態勢も、ネットの普及や進化も、遅れている国であることを露呈した形である。

 ようやく9月1日にデジタル庁が発足する運びとなった。その仕事ぶりに期待したい。また、1年以上前からワクチンを接種する日がいずれ来ることは分かっていた。しかし、準備が遅く場当たり的で、何から何までちぐはぐで、混乱ばかり起こっている。

 コロナ禍で飲食、観光、交通など自粛経済で多くが委縮しており、減給、ボーナスカット、解雇、雇い止め、閉店、倒産、さらに家庭ではDV、虐待、自殺まで増加している。その現状の中、緊急事態宣言下で、自粛を要請している側の国会議員や官僚や公務員が深夜までの大勢での会食を行っていたことが相次いで発覚している。

 さらには、多額の選挙資金の決済をした人が判明しない政党等、政治と金の問題、不用意な発言、国会に遅刻する議員など、報酬や給与が減らない人たちには、やり場の無い怒りも切迫感も感じないのであろう。これもまた国民感情にそぐわない事象である。

 ワクチン接種が拡大し、収束に向かう時、低迷していた観光を復活させ挽回を目指さなければ未来はない。コロナ禍で感じた生き方や心の持ち方等、以前と同じ価値観ではない。今、観光に何が求められるのか、明るい未来のための周到な準備を行う時である。

 
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