【体験型観光が日本を変える218】オリンピックとアルコール 藤澤安良


 東京ではオリンピックを目前に控えて、変異株の影響もあり新型コロナウイルス感染者数が前週に比べていずれの曜日も上回るなど上昇傾向にある。安心安全な開催が危ぶまれる。

 オリンピック出場のウガンダのわずか10人足らずの選手団の中から、成田空港と合宿地の大阪府で陽性者が出た。何万人もの選手や関係者の、空港検疫や濃厚接触者への対応は、極めて難しい。

 東京五輪でもバブル方式の対応と言いながら、選手や関係者を輸送するバスの運転手等の乗務員は、車両点検も必要な車庫にも帰らす、自宅にも帰らず、期間中選手村に居続けるのは無理である。バブルの穴はすでに開いている。

 それを前提にし、観客も含め五輪に関わる全ての関係者がワクチンを接種し、検査をすることが求められている。さもなければ、安心安全の安心すら確保できないことになる。

 市中で酒類提供が19時までとしておきながら、オリンピックはいいのか等の世論の風当たりもあり、会場での飲酒が禁止の方向になった。真夏に飲み物を飲まなければ熱中症の危険性も高まる。

 近年、ノンアルコールビール飲料の競争も激化し、味もよくなっている。アルコールに酔わずに選手の活躍に酔えばいい。会場では冷えた清涼飲料とノンアルコール商品を大々的に売るべきである。

 世間の関心はもっぱらオリ・パラにあるが、もうすぐ夏休みである。Go Toトラベル等の割引がなくてもコロナ以前は旅行業界にとって、個人、家族、グループが一番動く時期でもある。

 オリンピック各会場に上限1万人が動くなら、全国各地に分散する旅行なら、テーマパークは別として1会場に一時的に1万人も集まる機会はまれである。ましてや、アウトドアスポーツや野外体験などはリスクが少ない。

 旅館・ホテルも飲食店も、安全対策をしっかり対応しているところも多い。旅行する側もワクチン接種済みやPCRや抗原検査済みの証明書(ワクチンパスポート)を持参するなどで対応すべきであろう。それを持っているとどう役立つのか、観光経済を動かそうとする動きが見えない。

 旅行業界の中には海外旅行のシェアが大きい会社も少なくない。海外渡航を動かすには、ハワイなど渡航先での検査陰性で隔離免除が相次ぐ中、帰国後の検査陰性で自主隔離を免除し、行動予定表のみとすべきである。政府もワクチンパスポートは検討がされており、7月末には方向性が出ると思うが、早急に動きだせるように制度設計をすべきである。

 ワクチンを接種した人が、感染や重症化防止は当然ながら、それなりの社会的な恩恵を受けるなら、若者の接種率も高まることになる。現状では無理で動かせないのではなく、内外ともにどうしたら安心安全を担保しつつ、観光経済が回していけるのか、誰かが何とかしてくれると思わないほうがいい。

 ワクチンパスポートと観光の条件提示ともいうべきトラベルブックにより、業界が一丸となって、知恵と行動力でコロナ禍を乗り切る道を開くべきである。

 
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