【体験型観光が日本を変える222】東京五輪開幕、その明と暗 藤澤安良


 新型コロナウイルス感染者が拡大傾向にある中、いよいよ東京オリンピックが開幕した。東京の感染者だけで言えば前年よりはるかに多い。ワクチンの接種が普及しているのは確かだが、感染者だけでみるとこの状況でオリンピックが開催されるなら、従来の予定通り2020年に開催できたのではとも思える数字である。

 その頼みの綱のワクチンをオリンピック関係者が全て接種して参加しているものと思ったが、米国オリンピック・パラリンピック委員会の医療責任者は東京五輪の代表613人中、少なくとも約100選手がワクチン接種をしていないと明らかにした。

 そして、毎日実施するはずのPCR検査が検査キットが間に合わず検査ができていなかったり、オリンピック関係者からも連日感染者が出ており、ルールやモラルを順守しない関係者も少なくないことから、バブル方式の安全対策は穴がありそうである。

 物事は机上の論理やプレーブック通りにはいかない。陸上の長距離のラスト1周の鐘のように、毎日警鐘を鳴らし続け、さらに安全対策を万全にして走る必要がある。

 そんな中、開会式が行われ、いつもより報道が控えられていたのだろうか、こんなに多くの選手団がいつの間にか来日していたのだと驚くばかりであった。直前に解任問題にもなった行進曲や演出にも注目が集まる中、各場面で有名人やいろいろな立場の多くの人々が登場したり、関わったことで収まりがついたようにも感じた。

 一方、1年待たされ、調整に苦労し、やっとの思いで出場権を得た選手にとっては、晴れの舞台であり、活躍してほしい。

 スタートした競技では日本人の活躍が見られ、メダルへの期待が膨らむ。かくなる上は国籍を問わず、参加した世界一流のアスリートが競技でその力を発揮してくれることが楽しみであり、猛暑の中、新型コロナ感染が拡大する中、選手の活躍は当然ながら、多くの関係者の安全と健康を祈るばかりである。それが成功と言わしめることになる。

 オリンピック後、お盆期間を除き、8月24日から9月上旬までパラリンピックが開催される。

 ここにきて、首都圏の市中の人流も多く、猛暑の連休は涼を求めて海や山に出かけた人も多く、マスクの非着用も見かける。これ以上の感染者を出さないように、テレビ放送の画面に啓発テロップを入れたり、アナウンサーからも発言するなど、総力で臨むべきである。

 オリンピック開催都市で観戦も観光飲食もできず、観光・飲食業の期待の経済特需どころか大打撃である。緊急事態宣言下の東京に世界中から206もの参加国を迎えて開催したその結果、運営手法や感染防止対策、検疫や検査など多岐にわたっての事例、その課題や反省、または成功事例を生かして、夏バテ、コロナバテ、オリパラバテで終わらず、経済活動復活につなげるべき時である。

 ワクチンと検査の拡大充実を条件とし、日本人の海外渡航後制限の緩和と、訪日外国人受け入れ再開の条件を議論し、早急な判断を求めたい。

 
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