9月に入り、日本人の活躍が著しいパラリンピックも終盤に差し掛かる中、新型コロナの感染拡大が収まらず、重症者や死者は依然として多い状況である。その新型コロナは若者への感染が顕著になり、ワクチンを接種したいと考える若者が急増している。
供給量なのか、医師不足なのか、自治体からはまだ順番が来ないし、アルバイトや主婦であったり、小規模であり、職域や大学での機会に恵まれず、予約を取れずに困っている若者も少なくない。需要と供給のバランスが取れていない。
政府は10月10日に希望する全国民の量の配布が終わるとしているが、その日に限りなく近い時期にワクチン接種が完了してもいいはずなのだが、この状態では期待はできない。
また、政府や自治体から医療の現場へ、病床数の増加のお願いや要請があっても、国公立病院へは強い強制力を発揮しようとも、医療スペース、その他の既存の患者、医療機器、医療スタッフを増やさない限り物理的に無理である。
従って、なおもひっ迫状態は続いている。これでは自宅療養者の死者はなくならない。また重症者が減少したと喜んでばかりではおられず、死亡者の数値に置き換わっただけの場合もある。
昨年、中国武漢市で新型コロナウイルス専門病院として、「火神山医院」を延べ床面積3万3900平方メートル、ベッド数千床の巨大施設を整備開始から10日後に稼働させた。日本も昨年の早い時期に、自宅療養者を放置死させないためにも、野戦病院とは聞こえが悪く緊急コロナ専用病院として、例えば東京なら立川市国設昭和記念公園などに突貫工事で専用病棟を造るべきであった。
今なら、オリパラの会場や選手村などの活用も考えられる。ワクチン政策も医療体制も経済活動も、1年半以上も経過しながら後手後手に回り、メッセージ性に乏しく、課題山積である。
そんな中、菅義偉首相が新型コロナ対策に専念すると言って、9月末の自民党の総裁選に出馬しない旨を発表した。事実上、総理大臣の職を辞することとなった。そこに至るプロセスは異例ずくめで、大方の予想を覆す退陣劇となった。
総裁選は事実上、総理大臣を決定する選挙でもある。選挙権は持たずとも注目せざる得ない。総裁選の論点は、新型コロナ対策でのワクチンの早期完了、健全な医療現場の構築、安全を担保した経済活動の復活など、まずは、国民を納得させる具体的な政策であり行動である。
そして、分かりやすく、逃げない、ごまかさない、丁寧な説明とメッセージが求められることになる。新しい総理への条件でもある。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長から、県境をまたぐ出張や旅行、全国から人が集まる大規模イベントや部活動などで活用するなど、経済を回すための条件提示となるワクチン2回接種証明と検査陰性を組み合わせた「ワクチン・検査パッケージ」なるものを政府に提言した。
数値の条件も提示されており、国民が一丸となってその実現に向かう行動を起こす時である。