【体験型観光が日本を変える243】オミクロン株の猛威で列島混乱 藤澤安良


 新型コロナウイルスのオミクロン株の感染力が強く、ワクチン2回接種者も大丈夫だと決して高をくくってはいられない。また、とりわけ活発に活動する20代の感染者が多くなっている。成人式は感染予防をしながら粛々と行われたが、その後に居酒屋そしてカラオケと進んでいった結果がクラスターとなっている。

 式典会場の付近では改造されたと思われるバイクや車で爆音を出しながら走り回ったり、酒瓶を回し飲みしたり、数十万円も費やしたヘアースタイルや派手な衣装で着飾った成人も存在した。価値観はそれぞれだが、法律違反や他人に迷惑を掛けない行動が必要で、成人としての自覚が求められている。

 一方で、感染者は多いが重症者も死亡者も少ないことから、今までの2年間と全く違う様相である。感染者は東京も大阪も1万人に迫る勢いである。病床数が徐々に逼迫(ひっぱく)する方向である。

 そして、いったんは16都県にまん延防止等重点措置が出された。緊急事態宣言に近づいており、時間の問題でもある。

 さすがにこの数値では東京と大阪の往来は自粛せざるを得ない状況でもある。仕事にはリモートで済むものと、直接顔を合わせて交渉すべきものがあり、当方は後者の比率が高い。われわれのような業種は厳しい状況が続くことになる。飲食店の心境がよく理解できる。

 今までのデルタ株と潜伏時間も発症までの日数も、症状も軽いなら対応策もおのずから違ってしかるべきである。そんな意見が飛び交う中、濃厚接触者の待機期間が14日から10日に短縮された。しかし、ほとんどオミクロン株に置き換わったとされ、発症まで3日程度といわれている中、7日でも5日でもいいように思う。

 検査で陰性ならそれも不要ではないか。官僚など公務員と違う、コロナで打撃を受け、給与も賞与もままならない観光業などの業種業態の苦悩をどのようにくみ取れるのか。自国で検査をせずに来日した兵士がいる米軍に対する思いやり予算より、自国民に思いやりを持てないような国家であってはならない。

 15日午前、大学入学共通テストの会場近くの、東京メトロ南北線東大前駅や車内で着火剤がまかれ、放火を試みた私立高2年(17)の少年により、受験生ら3人が包丁で刺された事件は、周到な計画と強い殺意に加えて、事件後の自殺まで考えていたという。

 過日の大阪での25人が死亡した放火殺人事件と似たような事象である。他人を道連れに死のうとするまで追い詰められている境遇の者が少なからず存在している。社会的な境遇なのか、精神的に病んでいるのか、再発防止に動機の解明も社会的背景も探らなければならない。

 ショッピングモールでゲームソフトをねだる子ども、ゲームセンターでそれぞれでゲームに興じる子どもたち、電車の中で客の9割以上がスマートフォンとにらめっこする大人。確実にバーチャルが増え、交流とコミュニケーション機会が減少しているのは明らかである。アフターコロナはその課題解決に向かうことになる。

 
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