【体験型観光が日本を変える276】旅行支援開始、ウィズコロナに突入 藤澤安良


 新型コロナの感染者数は全国的に減少しているものの、下げ切らないままである。

 天皇皇后両陛下が英国のエリザベス女王の葬儀に参列され、そのお姿がテレビ放映されたが、葬儀や要人との会食などはマスクは当然であると思うが、沿道や広場での英国民のほとんどはノーマスクであった。

 厚生労働省は会話のない散歩やジョギングなどはノーマスクでいいという広報をテレビで流している。しかし、他人からの目を気にする律儀な日本人は3年間に及んだ慣習は簡単には止められないのであろう。その慎重さがいいのかもしれないが…。

 政府は10月11日から観光支援策「全国旅行割」を実施する。訪日外国人入国枠を撤廃し、個人旅行もビザなし渡航も解禁するとの発表をした。いよいよ、ウィズコロナに突入することになる。その政策で第8波が来ないように祈るばかりである。

 つまりは、ワクチン接種の推進拡大は急ぐべきであろうし、それぞれが気を付けてできるだけの感染防止対策を講じながら、社会経済活動を進めていくことに他ならない。

 9月23日、西九州新幹線の武雄温泉から長崎までの新幹線で最短の66キロが部分開業した。もっとも新鳥栖接続からの全線開業のめどは立っていない。

 私は偶然に武雄温泉の近くでの仕事があり、リレーかもめと新幹線かもめが接続するホームから帰京することにした。駅前広場は、飲食や物産のイベントテントが並び盛況であった。入場券購入の券売機にも列ができ、ホームは新幹線に乗らない子ども連れや、鉄道オタクの撮り鉄たちでごった返していた。

 見慣れた東海道新幹線のN700Sであるが、JR九州の赤のストライプはとても新鮮である。新幹線の入線と同時に一斉に見学者のシャッター音が鳴る。もちろん到着した新幹線からも観光や仕事でもなく、持ち物や風体からも乗り鉄とおぼしき多くの人が乗り降りする。

 残念ながら、この種の乗客や見物人は一過性のものである。短縮される30~40分を何に使うべきかの提案が求められており、それが受け入れられてこその新幹線開業効果となる。

 過去の多くの事例をみても、開業の傍らで在来線がJRから切り離され地元3セクになったりすることが多い。地域に密着していた駅が、車両編成減や特急がなくなるなど運行ダイヤの減少は免れない。いつも同じである、始発駅と終着駅が発展する。

 九州新幹線では博多駅と鹿児島中央である。北陸新幹線は金沢駅である。新幹線の途中駅であっても安穏とはしていられない。途中駅は通過駅になり、その駅に降り立つための魅力発信と目的提案がなければお客は降りてこない。

 地域住民が都市に買い物や遊びに行くのに便利な道となり、経済は都市に流れていくことになる。その経済の流出を補填(ほてん)し活性化につなげるには、観光誘客でしかない。神社仏閣名所旧跡がなくても、山や森、田畑、川、海などの自然とそこに暮らす人々の暮らしや生きざまが魅力ある体験型観光の資源となる。地域の発展を期待したい。

 
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