11日から全国旅行支援が始まった。いろいろな混乱や問題が続出しているが、準備不足の言い訳は情けないし通じない。決して急に決まったわけではない。昨年のGo Toキャンペーン終了後から9月まで課題や反省を生かして制度設計をすべきであった。
また、取り扱い方を政府から都道府県に任されたが、47通りの制度は旅行者も旅行会社も戸惑うことになる。県内単位で旅行することは少なく県境を超えての旅行がほとんどであり、県を超えるたびにシステムが違うのはナンセンスである。
情報発信不足とあおり過ぎの傾向もある。予算に限度があるから早い者勝ちのような印象が、旅行者を慌てさせている。その結果として、今月の枠や数県でも枠がなくなったとか、割引対象のツアーは予約で埋まったとか、不満も続出している。せっかく多額の国費を使いながら手際の悪さは、行政や観光業界の信用をなくすことになりかねない。
しかし、旅行を待ちかねていた国民にとって割引は大きなインパクトとなり、予約状況は盛況であり、観光経済に大きな好影響を与えることは間違いない。地域の活性化に貢献することを期待したい。
同時に水際作戦が緩和された影響も大きい。訪日外国人も目立ってきている。航空便の拡大なしには一気に増えることはないものの、世界経済フォーラム2021年の観光開発ランキングで日本が初めて1位となった。
さらには極端な円安も相まって、大きな魅力である。航空便の便数拡大とともに、インバウンドが増えることは間違いない。
一方で、長らく行けなかった海外旅行はそのバネも効き、動きだすことになる。しかし、その前に立ちはだかるのが、燃油サーチャージの値上がりによる航空運賃高と、滞在費にも食事代にも買い物にも、支払いのたびにがっかりする極端な円安ドル高である。
10月上旬の1週間はハワイに滞在していたが、日本からの航空便がコロナ前の半分以下なので、日本人客はまだまだ戻っていない。海外旅行のモチベーションは円安の動向にも大きく影響することになる。米ドルの影響が薄い東南アジア方面がねらい目かもしれない。
また、国内では全国旅行支援の始まったばかりの日に、富士山の観光道路でツアーバスが横転し死傷者が出た。残念である。沖縄ではサップで女性1人が14時間も海上を漂流していたというから驚きである。GPSを付設したライフジャケット着用が必要になる。知床観光船客にも位置情報確認システムが必要だった。
箱根駅伝予選会が開催され10チームが予選会を勝ち抜いて本戦に出場することになった。誰も計時せず着順判定もゼッケンも確認せずどんどん記録が出てくる。選手がRCチップを装着しておりゴールラインを通過ごとに記録されていくシステムである。
監視されるのはいやだけど、文明の発展は経済にも安全にも活用したいものである。旅行は、平和と安全の上に成り立つものである。それぞれの立場で安全対策の再確認をしなければならない。