【体験型観光が日本を変える303】GW、国内外での出来事に思う 藤澤安良


 ゴールデンウイーク(GW)中にはいろいろなことが起こった。

 モスクワのクレムリンの屋根にドローンが飛んできて自爆した。犯人探しは紆余(うよ)曲折、諸説粉々論じられており、悪い兆候が出なければいいのだがと願うばかりである。

 英国では国王の戴冠式が70年ぶりに実施され、祝賀ムードがロンドンから世界各地に広がった。

 日本では5日、能登半島の珠洲市で震度6強の強い地震が発生したが、津波が起きず、大都市と離れており、比較的被害は軽微であったが、余震は続いており予断を許さない状況だ。

 桜前線は例年より早く、季節を先取りしながら、GWに北海道の中心部まで駆け抜けた。私も追いかけて北海度へ向かったが、道南の標高が高い山には残雪が輝き、山裾は黄緑の木々の芽吹きとピンクの山桜が美しいコントラストを見せていた。以前は知り合いの道民が、「残雪があり、まだ寒く。北海道にはGWは関係がない」などと自虐的に言っていた。

 今年は5月4日に那覇が気温27度とテレビが伝えたと同時に、札幌は25度でその気候を体感した。そして、札幌大通公園や小樽には観光客が押し寄せた。

 私はスキー客がもういないであろうとニセコに宿を取ったが、外国人が3割ぐらいでチェックインが長蛇の列となる。確かに、スキーが可能な積雪があるのは頂上から中腹付近であり、数百人程度である。しかし、子ども用のツリートレッキングやアスレチックなどのアクティビティにも長い列ができていた。

 山麓の尻別川を豊富な雪解け水が流れている。水は冷たいはずだがラフティングも始まっており、艇を運ぶトラックも頻繁に行き交っている。宿泊施設の多くが相当なにぎわいを見せていた。千歳空港行きの航空機も満席で、札幌のホテルも残室が少なく、レンタカーも予約がとりにくく、しかも、全て割り高である。それはれっきとしたGW現象であり、ニセコは国際的なリゾートの様相である。

 旅の醍醐味(だいごみ)は食であり、地元産の鮮度と旬が魅力であり、つまりは地産地消である。宿泊飲食施設はもちろん家庭までも、冷凍食品、輸入食材、業務用惣菜がはびこると、地産地消の価値は高まり、それらを実現する宿泊施設や飲食店が生き残ることになる。

 ブッフェスタイルの朝食で、飲み物・肉類・魚介類、さらには御飯類まで、全てではないが北海道産がいろいろ並んでいると、うれしくなるのは私だけではない。他のお客も総じて地元産に手を伸ばしていることが分かる。

 はやる観光地の条件は、自然、温泉、体験プログラムやアクティビティ、いい宿、その地域の普段の暮らしの中にある地産地消のいい食である。アクセスも要素の一つではあるが、距離や時間を超える魅力があればよい。遠いから不便だからと諦めてはいけない。知られていない地域や食を先取りする優越感もある。オーバーツーリズムも起こりにくい。

 5月8日から新型コロナが感染症分類2類相当から5類に引き下げられた。安全が担保されたわけではないが、観光機運が高まることを期待したい。

 
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