【体験型観光が日本を変える320】飯田市で「ほんもの体験」総会開催 藤澤安良


 9月に入っても、またもや台風13号が東海地方に上陸し、東北地方南部に大雨をもたらした。その台風なく、猛暑が続く中、9日、全国ほんもの体験ネットワーク(全国22団体加盟)の総会を、北は岩手から南は沖縄まで、全国各地より50人を超える参加があり、長野の南信州・飯田市で開催した。

 コロナ後とはっきり宣言できるまでには至らないが、教育旅行やインバウンド等、地方に向かう旅行が増加しており、コロナ前に戻る動きに対応すべく、早急に受け入れ態勢整備を進めなければならない状況にある。じっとしていても、待っていても事態は好転しない。地域コーディネート組織の機動力を生かし、動きまわって元のキャパシティに近づけてほしい。

 東京・品川に私の行きつけのラーメン屋があるが、もちろんおいしくて、ボリュームもあり気に入っている。しかし、今までほとんど並ぶことはなかったが、長い列ができていた。20席のカウンター席のみである。他の店に行くつもりはないので並んで待つことにした。ようやく店内に入ると日本人は3人だけで、17人は欧米系である。インバウンド拡大の影響が都市部では顕著である。

 ラーメンは数種類あるが他にはギョーザとライスしかない。回転が速いはずのカウンターなのになかなか席が空かない。箸の持ち方や食べ方が間違っている。2本の箸をまとめて持って丼の中でパスタのフォークのように麺を巻き付かせようとして、とても苦戦している。遅いはずだ。

 そして麺と一緒に箸までかむ音がする。すべてを食べ終えても仲間同士数人で、長い時間おしゃべりをしているではないか。店外の行列している客に忖度はないのである。

 食事時のおしゃべりは欧米の文化なのでわからなくはない。日本のランチタイムはお腹が満たされたらそれで良いという現状がある。
 きっとこの店のラーメンがおいしいだけの情報は伝わっているのであろう。ラーメンの食べ方、箸の使い方、ラーメン屋など席数が少なく回転が勝負の店はほどほどの時間で立ち去ることなど、日本の食文化としてセットで理解してほしいものである。

 情報の発信はより高度に、ルールやモラルも伝えなければならない。オーバーツーリズムは人数だけの問題ではなく行動にも原因がある。そして、ここの担々麺が6.5ドルで食べられていると思うと嫌な気分になる。

 先週、ハワイでのラーメンは18.75ドルであり日本円換算で2812円であった。トレーにライスとサラダと肉が乗ったランチプレートは3750円になる。

 料亭は別として、日本の食はなんとおいしくて安いことかと思う。インバウンドだからといって二重価格はいけないが、外国人向けにボリュームと品数と果物と飲物をセットにし、付加価値の高いものを提供し、高額な食事メニューも売れるはずである。

 価格競争ではなく、鮮度と地産地消と食の安全とアイデアの商品内容勝負にしなければならない。お客が喜ぶメニューや付加価値サービスについて真剣に考え、変わる時である。

 
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