【体験型観光が日本を変える321】阪神優勝、暗さの中に明るい話題 藤澤安良


 北アフリカが大変である。リビアの大洪水による死者は少なくとも4千人、行方不明者は9千人と報道されている。また、マグニチュード(M)6・8の大きな規模の地震がモロッコ中部で起こった。死者は約3千人、負傷者は約6千人に上る。全壊または部分損壊した住宅は少なくとも5万戸に上る。国連は30万人以上が地震の影響を受けたとみている。

 日本でも停滞する秋雨前線の影響で線状降水帯の発生が相次ぎ、局地的に洪水をもたらしている。そんな自然災害が各地で起こっている中で、人為的に戦いを起こしている場合ではない。北朝鮮とロシアの首脳が極東で会談を行った。きな臭さしか感じられず、ウクライナ侵攻の犠牲者が増えぬことを願うばかりである。

 9月に入り社会的に暗い話題があまりにも多く、心が晴れない。福島第1原発の処理水を巡って中国をはじめとする世界の反応を注視する必要がある。

 大手中古車販売会社の不正や問題行動の数々、大手エンターテインメントプロダクションの長年にわたる性加害問題など、テレビのコマーシャルまで変わろうとする大きな出来事である。

 内閣改造が行われたが、ほぼ世襲の女性大臣が5人、人数の上では過去最多タイと言えども、副大臣や政務官は男ばかりであった。人材不足は否めない。女性の活躍する場やポストは数の問題だけではなく、適性と適材があり、そう簡単に増えるものではない。

 いま選挙権を持つ18歳以上の若者が何を求め、何を考えているのか、政治家を目指そうとする人がもっと多くなくてはかなわぬ話である。児童生徒の時代から社会や世界とつながる見識を持たなければ未来は開けない。

 いまの政治家の多くが、保身、面子、顔、立場、利権がうごめいている世界に浸かっている。そんな濁濁の環境を変えなければ女性の場は増えることもない。また、教育の場でも学業を追い求めすぎて、人間力が追いついていない。そんな政治家があまりにも多い。

 たびたび選挙区に帰っているといっても、耳障りの良い身内の後援会の話ばかりを聞いても民意をつかめない。世間知らずということでもある。現在のよどんだ空気の払拭には世の中が大きく変わるムーブメントが必要である。

 景気浮揚と言いつつ、誰かが食べてしまう補正予算の額面よりも、未来にきっちり投資以上の結果が生まれる政策にこそお金が付いて、生み出す経済が求められている。

 ここに来て、周りでも新型コロナウイルスの感染者が増えており、第9波の流行が密かに忍び寄ってきている。せっかく平常を取り戻したかのように見える今日から逆戻りさせないためにも、また、秋の行楽シーズンが空振りに終わらないためにも、人と接する観光業界は安全と増売の対策を講じなければならない。

 暗いニュースばかりではない。野球では阪神とオリックスの関西球団のリーグ優勝になり、大きく盛り上がりそうだ。その機運を全国的なものとして、この国家の難局を乗り越えるために必要なのは行動の質である。

 
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