【体験型観光が日本を変える324】不登校・いじめ問題に歯止めを 藤澤安良


 新型コロナからの立ち直りが進んでいるようにも見えているが、感染症分類の「2類」相当であった3年間の社会経済活動の停滞の後遺症は大きく残っている。経済はもちろん生活や教育にも大きな影を落としている。

 観光関係も大きく変わった。観光バス業界はコロナ禍で減車や運転手が離職し、バスが足りない状況が続いている。インバウンドが増え続けている観光地ではタクシーも足りない。修学旅行についても、観光バス不足は深刻な問題になりつつある。

 観光施設も宿泊施設も飲食店も人手不足は深刻であり、時給も千円以上は当然で、夜の時間帯や土日なら1500円でも確保が難しい業種がある。外国人労働者の手を借りなければやっていけない。

 その外国人ですら、円安で観光地としての日本の評価は高いが、労働地としての評価は低い。とりわけ、技能実習制度では低賃金でパワハラも暴言もあり、下に見ている言動が日本の評価を著しくおとしめている。廃止までが検討されている。雇用主のモラルと品格が問われている。働きたい国、住みたい国であることはもちろん、訪れてみたい国にならなければ真の先進国ではない。

 また、子供たちを取り巻く環境が大きく変わり、家庭での時間で学業は進んでおらず、野外活動や遊びはできなく、室内でのゲームの時間だけが大幅に増え、ゲームソフトの会社は高収益を上げた。

 人間関係が希薄になり、小中学生の不登校は約29万9千人、いじめは約68万2千件といずれも史上最高の数値を記録した。最悪の結果であり、この流れに歯止めをかけるべく行動を起こさなければならない。

 学校でのいじめはなかったことにしたり、見て見ぬふりをしたり、責任逃れともとれる教員のいじめ隠しは続き、学習塾では児童の盗撮まで明るみに出るなど、教育者である前の人間としてのモラルから欠如している。この問題は、いじめる側が悪いばかりではないこともある。親の生き方や家庭環境などが双方に大きく影響している。

 無理難題や言いがかりを付けて、いじめを助長し問題を大きくするような言動をする親もいる。家庭教育の貧困が要因でもある。好転させるには、今まで通りのやり方であってはいけない。教育の在り方として何もかも大きく変わらなければならない。

 事が起こってからの保護者説明会では責任のなすりあいのように見苦しい場面が多い。そうなる前に未然に防いだり、いじめの土壌を作らないためにも、事が起こる前から学校教員と保護者との情報交換が定期的に行われるなども重要になる。

 また、教育の専門家による子育てセミナーなども保護者向けに行うべきである。教員の教科学習の試験はあるが、子供たちの人間関係問題に真正面から立ち向かう人間力のチェックが甘い。

 児童生徒の人間関係問題に対応できる教員の人材育成は研修室ではなく人との交流が中心の体験プログラムによって行われるべきである。

 
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