【体験型観光が日本を変える334】防災と災害後の備えを再点検 藤澤安良


 首都圏で穏やかな元旦を迎えられたと思っていたが、初詣の行列にけたたましい警報音が鳴り響いた。みんなスマホに目をやる。一瞬の静寂の後どよめきが起こった。大きな地震が起こる予告であることは理解したが、首都圏ではすぐには揺れず、数秒後に足元が揺れるのを確認した。

 テレビからはすぐさま震源地は能登半島であり、皮肉にも原発立地の志賀町が震度7であった。また、津波警報が出され、後に大津波警報に変化した。地震規模は東日本大震災と同等クラスであり、報道が現地取材をするたびに被害の甚大さが伝わってくる。

 日にちの経過とともに、その全容が明らかになるにつれて、死者や行方不明者は増えるばかりであり、家屋の倒壊も崖崩れも多く、冬の日本海の厳しさが避難住民に苦難を強いることになる。一刻も早い救助と復旧復興が求められている。

 皮肉にも、2日の夕刻には前日の地震関連物資を運ぼうとしていた海上保安庁機とJAL機が羽田空港で衝突するという事故が起こり、旅客機の乗員乗客379人全員が機内から脱出した後に機体のほぼすべてが炎上した。

 炎が上がり、煙が立ち込める機内から全員が避難できたことは奇跡的と、JAL機の客室乗務員の誘導を賞賛する外国メディアも多いと聞く。残念ながら海保機5人は犠牲となった。

 安全第一の空港でこのような事故が起こることは許されるべくもない。事故原因の究明の捜査が行われており、何らかの人為的なミスであることはうかがい知れる。再発防止に努めなければならない。

 新年早々多難な幕開けとなった。3月に北陸新幹線の福井県敦賀までの延伸が予定され、景気の回復が期待される北陸地域に水を差す結果となった。

 政治の対応が求められている中、年末から続いている政治と金の問題はついに政治家の逮捕者まで出る始末だ。政治は一体どこに向かっているのか、誰を見ているのか。有事にこそ政治家の真価が問われることになる。

 私のかかりつけの医者に12月に、正月にはハワイでも行かれるんですかと聞いたら、ウクライナかパレスチナ・ガザ地区のどちらかへ医療従事者の応援に行く予定との返事であった。レジャーと思った私が恥ずかしい思いをした。

 正月明けにその医者に会ったら、急きょ、能登半島の被災地である輪島市に行ったとのこと。倒壊家屋が多く、水、電気、通信などインフラが止まり、病院も万全ではない。さらに雪が降る寒さの中でとても気の毒だったと話していた。われわれにも何ができるか考えなければならない。

 自治体単位の救援隊が相次いで派遣されだした。やがてボランティアも活躍できるであろう。救援物資や義援金も可能性がある。今なお余震が続く中、宿泊観光業の相次ぐキャンセルは仕方ない。旅行の方面変更も予想される。復興の途中でできること、復興後に観光で訪れ、経済で応援すること、段階的な対応が必要になる。

 地震国日本、全国的に地震災害の教訓を生かし、防災と災害後の備えの再点検の機会にしなければならない。

 
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