【体験型観光が日本を変える354】少子化加速、国の存在が危ぶまれる 藤澤安良


 政治資金規正法改正の法案審議が終盤を迎えている。泥水で生息する魚が清水には棲めないように、一気にクリーンにとはいかないようである。所得減税では、現場の経理業務が煩雑で大変なことになっている。

 いつも、ほぼ何をやっても制度設計に問題がある。現場を理解していないのではと思う人が多いことを知らないのだろう。しゃくし定規にはいかないとか、清濁併せのむとか、きれいごとでは済まない、など良くないと分かりつつも、そこに身を置く時の方便や言い訳に使われてきた。

 企業においても2022年から最近のダイハツに続いて、他の大手自動車会社5社でも性能試験での不正が発覚した。それぞれの経営者が記者会見で「誠に申し訳ありませんでした」とおなじみのコメントとあたまを下げる姿は何度も見てきた。

 さらに、別ルートでは「安全性には問題ないとのことです」などと流れる始末。では、いったい誰のための何のための検査だったのか、これだけの会社が守らないのは、国の定める検査基準が実情と合致していないと言わんばかりの反論である。

 ルールが合わないなら官民で検討し直すことがあってもいいはずである。不正で繁栄した自動車業界が春闘での満額や高額回答も虚しいものがある。政治も企業も社会に向かって範を示すべきなのに、抜け道や逃げ道ばかりを探してやり過ごす体質から脱却しなければならない。こんなことでは、日本の経済や将来に希望が持てない。

 そんな若者たちから子育てが大変との印象の結果もあり、特殊出生率も史上最低の1・20人となった。東京都では1人を切って0・99となるなど少子化は言うに及ばず、日本国の存続までも脅かされる大変な課題である。

 もとより都市での人口構成から低いのはある程度理解はできるが、今まで高かった田舎までもどんどん減少しだしている。子育て世代の所得向上は重要だが、小手先の時限的な補助金政策では安心しない。大学卒業までの学費や医療の無償化は必須である。

 若者が経済的にも精神的にも元気でなければ観光産業の未来が開けない。GW後の観光は日本人の若者の動向が鈍く高齢者が何とか動いているが国内旅行全般に苦戦している。

 インバウンドは好調でコロナ前の2019年に近づいている。渋谷駅周辺の繁華街では、日本の若者の懐事情が厳しいこともあり、インバウンド客のオーバーツーリズムも入り交り、コロナ禍から続いている路上飲みが横行。渋谷区は10月の施行を目指して路上や公共の場などでの飲酒を禁止する条例案を明らかにした。

 インバウンドがオーバーで暗、全く来なくて暗、適度な着地点を見いだす作戦が必要になる。しかし、本来的には日本人の国内旅行が活発になる方法を真剣に考えなければならない。もちろん地域側の創意工夫と努力は言うまでもないが、国民の求めている政治は「日本の未来」と「地方の活性化」と「1次産業振興・観光振興」。結果が伴う戦略と政策と財源の確保が不可欠である。

 
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