【体験型観光が日本を変える361】深刻な天候不順、温暖化対策急務 藤澤安良


 猛暑日が続いており、熱中症での救急搬送も続いている。一方で、首都圏では局所的に雷鳴がとどろき大雨となった。山形県や秋田県の日本海に流れ込む河川の流域を中心に線状降水帯が発生・停滞し、集中豪雨による河川の氾濫や土砂崩れから、家屋の倒壊や床上浸水も起こるなど、甚大な被害になっている。

 巨大な波を巻き上げ濁流となった河川や、田畑や集落が水没し、湖のようになった情景がテレビの画面から流れてきた。とりわけ、山形県の庄内地方といえば米どころであり、その被害が心配される。

 過去の例からも、線状降水帯による豪雨災害はどこに起こるか直前の予報では分かるが、一般的にはどこで発生するかは予想がつかない。さらには、その短期間ではいずれも例がない降水量となっていることから、堤防の決壊や河川の氾濫も予想がつかないレベルとなっている。

 年配の被災者の多くが長年当地に暮らしていて初めての経験だと言う。つまりは、防災や治水対策が困難であり、巨費を投入しても費用対効果が得られない。かくなる上は、遅きに失した感があるが、地球温暖化への対策が急務であり、先延ばししている場合ではない。

 東北は「ねぶた」「竿灯」「花笠」「七夕」「わらじ」などの夏祭りが各地で開催される予定であり、観光集客においても大きな目玉である。それらに、影響が少ないことを願うばかりである。

 そんな中、パリではオリンピックが開幕した。既存の施設を95%も活用した投資額の少ないオリンピックのよき範例となるはずである。また、暑い夏の炎天下に入場行進とならないように、セーヌ川を船で下り、パリのシンボルのエッフェル塔に上陸しての式典で、各所に新しい演出が、世界を魅了した。

 過去の競技場での開催と違って、河川の河畔やエッフェル塔付近など圧倒的に観客数が多いことが魅力である。ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのパレスチナ、ガザ地区侵攻など悲惨な戦争の映像ばかりが届いているヨーロッパから、明るく楽しく選手の躍動する姿に感動する映像が届いてほしいものである。

 願わくば、日本選手のメダル獲得シーンが多ければ、なぜか仕事にも話題でも活気づくことになる。つまり、日本選手の活躍がそのまま日本人の心を熱くし、日本経済を活発にすることになる。その選手のふるさとにも元気を与えてほしいものである。

 今年は、8月10~18日までにお盆休みが分散し、比較的新幹線も取りやすくなっている。夏休みの旅行のピークも分散するはずである。

 宿泊業におけるお盆料金の設定が難しくなる。サービス内容に変化がなく、付加価値のないカレンダー上の多客時だから高くとるのは宿泊施設側の誠意がない。未来への先行き不安や実質賃金の向上が実感できない中、インバウンドばかりが増え続け、国内の旅行消費が伸び悩んでいる昨今での価格設定は再考する時期に来ている。

 今こそ日本人の活発な観光へのマインドを取り戻す機運と同時に効果的な政策が求められている。

 
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