【体験型観光が日本を変える373】子供に夢みせるワールドシリーズ 藤澤安良


 衆院選の議席が確定し、与党の過半数割れとなった。今後は野党の政策や考え方も取り入れる政権運営が求められる。特別国会での首班指名まで与野党の多数派工作が続くことになる。米国の大統領選も佳境に入り、支持が拮抗している。政策というより暴言、誹謗(ひぼう)中傷合戦の様相である。何を言っても言論の自由の国で片付けてほしくはない。

 そんな米国で野球のワールドシリーズが行われ、大谷翔平と山本由伸の日本人両選手が在籍するドジャースがヤンキースを破って優勝した。

 ロサンゼルスでは優勝パレードが行われ、約25万人が沿道を埋め尽くすなど大きな盛り上がりを見せた。日本でも新聞の号外が出たり、首都圏のスーパーがセールをするなどお祝いし、喜びを分かち合った。

 一方、日本シリーズもセリーグ覇者・巨人に3位のDeNAが勝ち、パ・リーグ王者のソフトバンクと戦い、DeNAが覇者となった。いわゆる下克上を成し遂げたことになる。

 しかし、そのニュース報道の露出が少なく、3日後でも報道が続くドジャースに圧倒された感がある。いずれにしても、子供たちの野球への関心が高まり、野球選手になりたいと思う人が増え、大リーグのワールドシリーズ優勝を夢にするなど、子供や若者が夢や希望に向かってまい進する姿を期待したい。

 勝者の共通点は諦めない執念や、ここぞという時の集中力のような精神的な部分が大きいと思った。すなわち、大場面にメンタルの強さは重要である。

 その若者の多くがお金に困って、闇バイトでの強盗殺人などに手を染め、増え続けている。治安のいい国・日本としては異常な状態である。

 国政において経済政策は当然ながら、若者の貧困など所得格差の問題も解決しなければならない。その一方で、労働意欲や仕事に対するモチベーション先進国で最下位の145位の日本の要因も探り、労働に対する意識変革を成し遂げなければ未来が危うい。

 11月1日から道路交通法の改正で自転車のながらスマホが罰則の対象となった。スマホがなくては生きていけないとは極言だが、それに近い気持ちの人はとても多い。

 本来は会話する道具であったが、メールのやり取りで文字を送る機能も大きく、情報収集、発注、精算、交通にも使え、犯罪の指示にまで及び、とても便利であるが、悪事にも使えてしまう。それは、人とのコミュニケーションを激減させた。今の子供の世代ではゲームに多くの時間を奪われている。ゲームは少人数であり、チームワークを重要視される野球などとは大きな差がある。

 58年前の中学校の同窓会に参加した。何回か実施されたが、今回は約4割の50人が参加し、当時以来の者も多い。爺婆ばかりだが食事もそこそこにみんな話続けていた。人に話したいことがあるのは幸せなことである。会って話す時代で良かったと思える会であった。

 金銭的物欲的な価値観だけではなく、生きる力や心の豊かさは、多くの人との出会いやコミュニケーションから生まれる。


(2024年11月11日号掲載コラム)

 
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