前号でご紹介した台湾カステラをしのぐ、人気爆発中のスイーツがある。「マリトッツォ(maritozzo)」だ。イタリア・ローマの伝統菓子で、オレンジピール入りブリオッシュ生地のパンに、生クリームを挟んだモノ。パンといっても口当たりが軽く軟らかで、バターと卵の割合が多いので、ヨーロッパではケーキの一種とされることもあるんだそう。真ん丸な形状が何ともカワイイ。かつてパックマンというゲームがはやったが、ヤツが口を開けたところに横顔がソックリ。その切れ目にこれでもかとタップリ生クリームが挟まれているのだ。
SNSの登場回数などで選ばれる、「2021年上半期食トレンド大賞」や「2021年上半期のトレンド料理ワード大賞」を総ナメの人気ぶり。そして、流行に敏感なコンビニ各社からも、相次いで発売されている。
コンビニ大手3社のうち、先陣を切って今年6月8日に発売したのがファミリーマート。「クリームシフォン・マリトッツォ風」というネーミング通り、見た目はマリトッツォだが、ホンモノと異なりパンではなくシフォンケーキでクリームを挟んでいる。
続いて、遅れること1日、6月9日に発売したのがローソン。何と100均ローソンでの販売で、価格もモチロン税別100円だ。400円台の商品が多く、ホテルなどでは千円近い価格もある中、ファミマの税別184円でも十分安いと思うが、オドロキのお値段。
調べたところ、クリームを詰めた後、ヘラで表面を整える作業を省くため、クリームは絞り入れる方法を採用。トッピングの工程を減らすため、あらかじめクリームにチョコレートを混ぜ込んでおくなど、製造工程を簡略化することで、この価格が実現したそうだ。発売からわずか5日間で約12万6千個も売れたという。
満を持して6月26日から、地域限定で販売を開始したのがセブンイレブン。税別230円とコンビニの中では高いだけあって、ブリオッシュパンにオレンジピール入りのホイップクリームを挟んだ本格派で、さらにベリーソースも絞り入れてあるという。
マリトッツォの大ヒットの理由は、やはりインスタ映えだろう。生クリーム部分にイチゴがトッピングされたり、グリーンのピスタチオクリームだったりと、SNS上には趣向を凝らしたさまざまなマリトッツォの画像が掲載されている。思わず写真を撮りたくなり、写真を見たら食べたくなる外見に、引き寄せられる人は多いだろう。実は、筆者もその1人である。
コンビニで発売される前のこと。ある画像を見てついつい某有名店からお取り寄せしてみたのだが、残念ながらパンがブリオッシュ生地ではなく、好みとは言えなかった。う~ん、こうなったら近所のコンビニに買いに走ってリベンジだ! フワフワなパンに生クリーム、作りが単純な方が、想像を裏切らないおいしさに違いない。幸い3軒とも徒歩圏内にある。食べ比べちゃおうっと♪
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。