今、台湾スイーツに続いて、いろいろな台湾グルメがブームとなっている。まずは、台湾の国民食「魯肉飯(ルーローファン)」。豚バラ肉を細かく刻んで、台湾しょうゆ、台湾米酒、砂糖、揚げネギ、八角などで甘辛く煮込み、汁ごとご飯にかけたもの。現地ではご飯茶碗ぐらいのサイズで供され、他の料理と共に食す。白飯か魯肉飯か選択できる店もあり、日本の感覚で言えば丼物でなく、混ぜご飯や炊き込みご飯的な存在だろう。
家々にお袋の味があり、またほとんどのローカル食堂が提供しているから、味わいもさまざま。皮付き豚を使ったコッテリ系、サッパリしたつゆだく派、八角の香りが強いタイプなどなど…。
今やタピオカドリンクの店でも提供されているほどの人気ぶりだというのに、実は残念ながら、台湾を訪れた際、食べる機会を逸してしまい、いまだ本場の味を知らない筆者。こりゃイカン!と調べ尽くし、現地の味と評判の高い、台湾人ご夫妻が営む台湾料理店からお取り寄せすることに。メニューを見ると、大好物の小籠包を発見! モチロン一緒に注文した。
考えてみると小籠包こそ日本で最初にヒットした台湾グルメかもしれない。ニューヨークタイムズ紙で「世界の人気レストラン10店」の一つに選ばれ、世界的な有名店となった台北の「鼎泰豐(ディンタイフォン)」は、小籠包が名物。その後、海外初出店先に東京を選び上陸を果たしたのは1996年のこと。現在は日本全国で20店舗以上展開する躍進ぶりだ。
小籠包についての詳細は別の機会に譲るとして、もう一つ、人気急上昇中の台湾グルメをご紹介したい。大人の顔ぐらいの超巨大唐揚げ「大鶏排(ダージーパイ)」だ。台湾夜市屋台料理の定番で、一部を紙で包んだワンハンドスナック。SNSで話題になるほどインパクトの強い大きさのヒミツは、鶏胸肉を叩き伸ばし、1枚丸ごと使うから。そして、タピオカの原料キャッサバ芋を粗くひいた粉を衣にしているので、仕上がりがサクサクに。最後の決め手は、シナモン、クローブ、八角、花椒(ホアジャオ)、フェンネルまたは陳皮などを混ぜた、中華のスパイス「五香粉(ウーシャンフェン)」。コレで、異国情緒あふれる味と香りに。
昔は入手が難しかったキャッサバ粉も、今はネット通販で容易に購入できるが、面倒なら白玉粉+片栗粉で代用できるから、大鶏排は自分で作ることに。
お味はというと…。魯肉飯は、八角の効いた豚の角煮、つまり東坡肉(トンポーロー)を刻んで、汁ごとご飯にかけた感じ。なるほど、日本人にウケる甘辛さだ。ちなみに、似て非なる角煮と東坡肉、一番の違いは豚肉が皮付きか否かだ。
小籠包は皮がやや厚めだったのがちょっぴり残念だが、かむと肉汁スープがあふれ出て美味。自作の大鶏排は、しっかり叩き伸ばしたつもりだったのに、少し縮んで迫力に欠けたが、外はカリッと中はジューシー、味付けもバッチリ♪
家で台湾料理三昧も悪くないが、いつになったら、またおいしい台湾に行けるんだろう? でも、もうちょっとガマン、次は魯肉飯も自分で作ってみよう!
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。