コロナ禍での巣ごもり生活を充実させようと、家でできる新たな趣味を持ったり、DIYで部屋の模様替えをしたり、断捨離に勤しんだりと、皆いろいろなことに取り組んでいるようだ。わが家でも、下の妹はパンを焼くという趣味が増えたし、真ん中の妹は三味線の練習に励んでいる。筆者はといえば、料理しては食べて飲んでばかり。
母は高齢ゆえコロナが怖いと、滅多に家を出なくなってしまった。大好きな読書もパズルも、近頃、目が悪くなってきたからと遠ざかっている。喜んでくれるのはおいしいお料理とお酒。そのせいか、ブランチの機会が増えた。平日は、在宅勤務でもリモート会議があったり、電話が掛かって来たりと落ち着かないから、のんびりできる「ホリデー・ブランチ」だ。
そもそもブランチとは、英語でbrunchと書く通り、breakfastとlunchをくっつけた造語。1896年に英国の雑誌に掲載されたのが初出のようで、その後、米国やカナダで広まったといわれる。日本では、ホテル内レストランがブッフェ形式で開催することが多く、宿泊客以外の一般客利用増に一役買っていた。
高級ホテルでは飲み放題を「フリーフロー」と言い、シャンパンのフリーフロー・プランが女子たちの人気を博したため、「シャンパン・ブランチ」などドリンクとのセットが多かった。だが緊急事態宣言で酒類の提供が禁じられるとそれが成立せず、ブランチプランは激減。この原稿が掲載される頃、緊急事態宣言にはピリオドが打たれているハズだが、飲食店の酒類提供について現時点では不透明。令和の禁酒令が解禁され、フリーフロー・ブランチプランが復活してくれることを願う。
ブランチの本場米国では、セットメニューに「ブランチ・ドリンク」がついている店も。そのドリンクの定番の一つが、ウォッカベースの「ブラッディ・メアリー」だ。欧米では、いわゆる迎え酒のような存在らしい。トマトジュースのビタミンやミネラルなどさまざまな成分が、飲酒によって失われた栄養素を補い、アルコールの分解を助け、肝機能を向上させるのだそう。だから、午前中から飲んでもカラダに優しく、二日酔いでもOKなのだ。ちなみに、この名前は直訳すれば「血まみれメアリー」。イングランド女王メアリー一世に由来するそうだ。
この週末は、ホットサンドのブランチ。冷凍のエビカツを揚げ、チェダーチーズとモッツァレラチーズ、自家製タルタルソースとレタスを挟めば、およそ8センチ程度の厚さに。調理家電フェチの筆者、ムギュっと抑えればそれくらい何のその、というホットサンドメーカーを持っているから、数分待てば外はカリッと、ジューシーなエビカツととろっとろチーズの激ウマホットサンドの出来上がり! ブラッディ・メアリーとの相性もバッチリ♪ 朝食でも昼食でもない、ゆっくりいただく特別な食事ホリデー・ブランチ。まさに口福のひと時だった。
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。