前号の続き。湖池屋がポテチ業界のパイオニアとしてのプライドをかけた「KOIKEYA PRIDE POTATO」シリーズには、何と食塩不使用の商品が。北海道産昆布などの旨(うま)みによって、ジャガイモ本来のおいしさを最大限に引き出しているという。国産の中でも旨みの濃いジャガイモを選定、温度を変えながら揚げ、素材本来の旨みや甘みを閉じ込めるという「新プライドポテト製法」だからこそ実現できるのだそう。
世界初の「のり塩」味の発売から、来年で60周年を迎える同社。長年のこだわりと情熱、そしてノウハウを詰め込んだ「The のり塩」を今月リリースした。環境に配慮した紙製パッケージを採用、歴史と新しさを感じさせる商品だ。
ポテチのフレーバーは、輸入品も含めると相当な種類にのぼる。トリュフ味なんて当たり前、先日筆者がネット通販で購入したスペイン産は、キャビア味にフォアグラ味、イベリコハム味まである。国産だって負けちゃいない。しょうゆやさんしょう、わさびに梅など、和食を意識した味付けも多い。
ご当地チップスも忘れちゃいけない。各地の名産品で風味をつけた、北海道ほたてバター、秋田いぶりがっこ、山形だだちゃ豆、福島桃、静岡お茶わさび、三重伊勢海老(えび)、沖縄シークワーサーや、ご当地グルメの大阪紅生姜(しょうが)天、香川骨付き鳥、宮崎チキン南蛮、岡山「津山ホルモンうどん」、ご当地ラーメンの「富山ブラック」「和歌山ラーメン」など枚挙にいとまがない。
そして、製法も商品づくりの決め手になる。ジャガイモの切り方や揚げ方が、食感を大きく左右するからだ。平らに切るより、表面をギザギザに切った方が、ガリっとした食感になる。ムチャ薄いものもあれば、通常の2倍の厚さをウリにしている商品や、皮付きの厚切りまである。
また、高温短時間でサクッと揚げるか、ポテチ発祥米国の伝統製法「釜揚げ式」と呼ばれる低温長時間揚げか。後者の代表はポテチ業界最大手カルビーの「堅あげポテト」で、160度以下の低温で8~10分も揚げるそうだ。通常の4~5倍時間が掛かるため、生産量も10分の1程度しかできないらしいが、しっかりした食感がウケ、今や業界をけん引する存在である。
ジャガイモをフレーク状に乾燥させた生地を成型する成型式も、進化を遂げている。乾燥芋なら輸入OKで原料不足を避けられるため、カルビーも2016年に成型ポテチ市場に参入した。口内にフィットする湾曲角度と大きさに設計することで、口に入れた瞬間に割れるようになっているというからスゴイ。
自分で作る揚げたてのポテチが一番ウマイに決まっているが、労力と時間を考えると面倒でもある。研究し尽くされ、種類が豊富で、内容も充実した流通商品から選んだ方が得策だろう。その手軽さとおいしさでシアワセ気分を倍増させ、ムシャクシャした気持ちを半減させてくれる相棒として、これからもヨロシクね、ポテチ君。
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。