前号の続き。「三温糖を同じ量のグラニュー糖に代えても大丈夫か問題」について。検索してみたところ、上白糖は大さじ1杯が9グラムなのに対し、グラニュー糖は大さじ1杯が12グラムなのだそう。例えばカップ1杯分の砂糖を使う場合、大さじ1杯が15ccだから、約13.3杯ということになり、3グラムの差はかなり大きくなってしまうから注意が必要だ。だが、肝心の三温糖の記述はまちまち。上白糖と同じとするものもあれば、12グラムとなっているものも。コレは量ってみるしかない。ギリギリ大さじ1杯程度残っていたので量ってみると、12グラムだった。わが家の場合、三温糖とグラニュー糖の量は同じで良いワケだが、前号で述べた通り、三温糖は甘みを強く感じるので、味わいはだいぶ違ってくるだろう。
さて、砂糖が料理を甘くするだけでないことは、皆さまご存じかと思う。砂糖にはさまざまな力があり、その作用でいろいろな効果が生まれる。まず思い浮かぶのは、防腐効果だ。食品の腐敗は、細菌やカビなど微生物の繁殖が主な原因。砂糖がその繁殖に必要な水分を吸収してしまうので、腐りにくくなるというワケ。ようかんやジャムが日持ちするのは、砂糖のおかげなのだ。
防腐効果以外にも、ジャムやマーマレードを作る際、砂糖の力は欠かせない。ゼラチンや寒天を入れなくてもプルプルに固まるのは、果物に含まれるペクチンという水溶性食物繊維が、砂糖の働きでゼリー状になるからなのだ。
このように、砂糖は水と結合しやすいという特徴を持つ。1カップのお湯に約1キログラムもの砂糖が溶けるほど、溶解度が高い。その保水性は、たくさんの効果をもたらす。例えば、ケーキやパンの水分を保ち乾燥を防ぐ。だから砂糖タップリのパウンドケーキは、時間がたってもしっとりしているのだ。
同様に、砂糖はデンプンの老化を防ぐ。餅や冷めたご飯が硬くなるのは、デンプンが老化するから。砂糖を加えると水分を引き寄せるため、こうした現象が起きにくくなる。つきたての餅はスグに硬くなってしまうけれど、砂糖の入った大福や求肥は経時変化が少ないし、すし飯が硬くなり難いのもそのためだ。
また、肉に砂糖をもみ込んでおくと、砂糖が肉のコラーゲンと水分を結び付け、肉を軟らかくする。砂糖入りの甘いタレに漬け込めば、軟らかい焼肉の出来上がり! すき焼きも、砂糖の力で肉を軟らかくする、理にかなった調理法だ。筆者が鶏むね肉を調理する際必ず漬け込むブライン液も、砂糖の保水力のおかげでしっとり軟らかな仕上がりになる仕組みだ。
さらに、砂糖はタンパク質の熱凝固性を抑制する。卵液に砂糖を加えると、タンパク質と水分が結びつき、凝固温度が上昇し固まりにくくなるので、玉子焼きに砂糖を入れればふんわり出来上がる。軟らかなプリン作りには砂糖が多い方が良いが、濃度が30%を超えると固まらないそうだ。
まだまだあるぞ、砂糖の効果! 続きは次号で♪
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。