先日、回転寿司(ずし)業界売り上げ1位「スシロー」のおとり広告問題が世間を騒がせた。偶然にもその前日、同系列の「回転寿司みさき」で食事をしたばかりの筆者。実は、コレが人生3回目となる回転寿司だった。
札幌に、必ず立ち寄る大好きな寿司店があるのだが、コロナ禍で全く行けず、東京の名店は敷居が高いし…と、思い切ってこの春、回る寿司を初体験。そのシステムに衝撃を受け、翌週別のチェーン店を探検。そして今回、期間限定「天然本まぐろ食べ比べ5貫」という広告に引かれて訪れた。同店は、株式会社あきんどスシローの持株会社株式会社FOOD & LIFE COMPANIESが、昨年全株式を取得し子会社化した株式会社京樽のブランドだから、同系列というワケ。広告には消費者庁が問題視したキャンペーン同様「売切御免!」の文字が躍っていたが、ちゃんと商品はあったしおいしかった。
その件は置くとして、回転寿司は想像以上の進化を遂げていた。初めて行ったのは「くら寿司」。並ぶのがイヤで、スマホにアプリをインストールして予約。気合を入れて一番乗りしたところまでは良かったが、席に着いてお茶を入れようしたらお湯呑がどこにあるか分からない。辺りを見回し寿司のレーンの上に発見! だが、次にどうすればお湯が出るのか分からず…という情けなさ。
寿司レーンは2段あり、上段が注文用なのだが、あまりの超高速スピードにビックリ。また、同店では特許取得済みの「自動皿カウント水回収システム」を導入、テーブルの「皿ポケット」にお皿を投入すれば枚数が自動でカウントされる。お皿を積んでおく必要がないから、常にテーブルの上はスッキリ。従業員が精算時に皿数を数える手間も削減され、少ない人数で店を回せるそうだ。お皿は水路を通って、洗い場まで運ばれていくという。
ビュンビュンと寿司が飛び交う様子に圧倒されながらも、終わり頃には慣れてきて、パパッと注文できるようになった。寿司には自社開発の「鮮度くん」というカバーが被せてあり、コロナ禍でもウイルスや飛沫付着の心配がない。
次に訪れた「スシロー」は、やや古い店舗だそうで、レーンは1段しかなかったが、ネタは筆者好みの物が多かった。「回転寿司みさき」は注文用高速レーン完備。お高めの大トロやウニもあるが、それでも回らない寿司より懐に優しい。
回転寿司のルーツは、大阪の寿司店経営者がビール工場のベルトコンベアにヒントを得て1958年に開発した「旋回式食事台」。かつては安かろう悪かろうのイメージもあったが、今は人件費、廃棄率などコスト削減で、飲食業界で最も食材原価率が高いとされ、大手チェーンの資金力で鮮度の高い魚を仕入れられるため、おいしさが格段にアップしているという。
明朗会計で廉価、気軽に行ける回転寿司が、日本が世界に誇る寿司の魅力をより多くの人に広めた功績は大きい。さて、次はどこに行ってみようかな♪
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。