先日、ちょっとコケて足をひねった。時間がたっても治るどころか痛くなる一方で、とうとう近所の整形外科へ。何と、右足側面の第5中足骨が折れていた。医師から「ギプスと松葉づえが必要。治るまで2カ月くらいかかります」と宣告され、かつて足の親指を骨折した時のことを思い出した。
石膏で固めたギプスはずっと着けっ放しだから、お風呂に入るだけでも大変だった。濡れないようにサランラップでぐるぐる巻いて、さらに大きなビニール袋を被せた。またあんな面倒な思いをするのか…。
だが、イマドキのギプスは進化していた。包帯で巻いてあるだけで簡単に取り外せるから、お風呂にも素足のままで入れる。それにしても、こんなに簡単に骨折するなんて。骨を強化しなくちゃ! 最近テレビCMでよく見かける、カルシウム不足を補うイワシの薄焼き煎餅みたいなヤツ、買ってみようかな? でも、ホントに効果があるのか?
そこで、骨を強くする栄養素を調べてみることに。厚生労働省によると、成人1人1日当たりに必要なカルシウムの摂取量は、男性で700~800ミリグラム、女性は650ミリグラムだそう。それって何をどれだけ食べれば良いのか? 実は、カルシウムが含まれていても、その吸収率は違うらしい。
含有量も吸収率も高いのが、牛乳や乳製品。牛乳200ミリリットル中に含まれているカルシウムは220ミリグラムと、効率が良い。ヨーグルトやプロセスチーズも、カルシウムを摂取しやすい食品だ。
次いで含有量が高いのは魚介類。骨も食べられる小魚や、殻ごと食べる干しエビなど。思わず酒のさかなに、アーモンド小魚を買ってしまった。豆腐など大豆製品や、野菜ではモロヘイヤ、小松菜がカルシウム豊富。
カルシウムの吸収を促進してくれるのが、ビタミンDだ。日光に当たれば体内でも合成されるが、カルシウムと共に食事で取る方が良いらしい。サケ、サンマなど魚類の他、日光に当てると食材もビタミンDが増えるので、しらす干しやイワシの丸干し、干しシイタケなどに多く含まれるという。
骨の形成に不可欠とされるのが、ビタミンK。骨粗鬆(そしょう)症の治療薬としても使用されている。含有量の豊富さは納豆がダントツだが、他にはワカメなど海藻類、モロヘイヤ、小松菜やほうれん草などに多い。
また、摂取量が不足すると骨粗鬆症にかかりやすいとされているのが、マグネシウム。あおさ、ワカメなどの海藻類、玄米、大豆製品、ほうれん草など。さらに、骨の成長を助けるとされているのが、亜鉛と銅。いずれも、カキや豚レバーに多く含まれる。そして骨の形成に欠かせないのがマンガンだ。玄米など全粒穀類、豆類、ナッツ類、茶葉に多く含まれているそうだ。
人間の体って、本当にたくさんの栄養素に支えられているんだと分かる。食という文字は「人を良くする」と書くが、まさにその通りだ。登場頻度の高い納豆、小松菜、ワカメあたりをしっかり食べて、骨を強くしたいと思う筆者であった。
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。