前号の続き。西川口チャイナタウンと呼ばれる一角にあるガチ中華の店「安老爺炭火蛙鍋」。メニューには日本語が併記されているが、会話はあまり通じない。そこで友人の奥さまサッちゃんが大活躍。創業百年のファミリー企業に嫁ぎ、自身も働いている彼女、輸入業務で役立つよう、中国語を習得されたのだ!
オーダーを試みたが、店員の返事は「〇△×□!」。サッちゃんいわく、タブレットで注文してくれとのこと。お客はほぼ中国人だが、これなら日本人でもOKだ。
最初に運ばれたのは、皮蛋豆腐(ピータンドウフ)。タレが辛い! でもウマイ! ガチの四川料理の味だ。続いて「拌土豆絲(バントゥドゥスー)」。拌はあえる、土豆はジャガイモ、絲は細切りという意味で、細切りのジャガイモをシャキシャキ感が残るくらいサッとゆでたあえ物。花椒(ホワジャオ)油が効いてベリウマ♪ 干し豆腐のあえ物「拌干豆腐絲(バンガンドウフスー)」も、辣(ラー)油タップリだがウマ辛だ。
そして待望の三段鍋が登場! 一番上の段は、座っている大人の男性の目線ぐらいの高さで大迫力! 上から順に、ザリガニ・スペアリブ・カエルの鍋。筆者はまずカエルから食べてみることに。
カエルちゃん、最初の歯触りはプリッとしているのに、超軟らか。鍋といってもスープっぽさはなく、具材に絡んでいるオリジナルのタレは、辛さ控えめを選択したのに結構辛い。とはいえ、お酒が進むちょうど良いあんばいだ。肉の下にキャベツやもやし、キクラゲなど野菜が敷いてあり、炭火の熱でだんだんクタクタになっていく。肉だけ先に調理してあるのだろう。ほろほろと骨から外れるカエル肉、骨を捨てる際は、鍋の下の窪みに投げ込むといううまいシステムだ。
お次はスペアリブ。先に肉を煮たのか蒸したのか、骨がするりと抜けてしまうほどムチャクチャ柔らかい。麻辣の中にも甘味のある味付けで、いくらでも食べられそうな、口福の味だ。
そしてザリガニ! 真っ赤なザリガニが鍋にぐるりと奇麗に並んだ様はまさに壮観。ビニール手袋を装着、いざザリガニと対決!とわしづかみにするとアチチッ! この鍋、中央の筒の中の炭の温度が案外高いようだ。気を取り直して頭を外し胴体の殻をむき、パクリ。おいちい♪ 泥臭さもなく濃厚な味わいで、やっぱりお酒が進んじゃう。
羊肉串とニンニク焼きも注文。長細い金串2本が刺してあり、いずれも外パリで中ジューシーなのは、炭火の遠赤外線のおかげだ。水ギョーザなどいろいろ食し、トリはカエル焼き。運ばれてきたのは、パッと見でカエルと分かる姿焼きだ!
サッちゃんが解体して下さり、筆者はアンヨをいただいた。タップリ塗られたスパイスが香る、甘辛い味付けが美味。今にもジャンプしそうな姿から、もっと筋肉質かと思いきや、ふんわりジューシー。鍋の時はあまりカエルを食べたという感じがしなかったけど、コチラはインパクト大だ。
サッちゃんありがとう♪ ウマ辛料理と海外旅行気分を満喫し、ガチ中華にすっかりハマってしまった。次はどこへ行こうかな?
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。