先日、知人を介して、新潟県西蒲原郡弥彦村の「石川農園」に枝豆を注文した。届いたのは、地元特産「弥彦茶豆」。塩もみした豆をタップリのお湯でゆでると、湯気と共に口福な甘い香りが立ちのぼってくる。ゆでたてをフーフーしながら口に運べば、ほっぺたが落っこちるって、まさにこのこと?っていうくらい、甘味とうま味が押し寄せてくる。
越後の一宮として名高い「彌彦神社」のご神体弥彦山は、標高が東京スカイツリーと同じ634メートル。登山初心者でも1時間半程度で山頂にたどり着くとあって、気軽に行けると人気。弥彦村はその麓にある。
新潟では5~10月の間、少しずつ時期をずらしながら、さまざまな品種の枝豆が出荷される。同農園で収穫されるのは、5月中旬~6月中旬が「弥彦むすめ」。続く6月下旬~7月上旬は「弥彦むすめ夏子」。そして7月上旬~下旬は「湯上り娘」で、7月下旬になると「弥彦茶豆」の出番。次いで8月下旬~9月中旬までが「甘茶豆」、9月下旬~10月上旬にシーズン最後を飾るのが「さかな豆」だ。
奥さまにお話を伺った。シーズン最初に出荷する「弥彦むすめ」は、1月の終わりごろ種をまき、雪が解けきらない3月初旬に植え付けをするのだそう。寒さ対策で、トンネル栽培をするという。地が肥えるように、畝立てが難しい茶豆以外は、毎年同じ田んぼに米と豆を交互に植えるそうだ。
収穫は、食味の低下を防ぐため、さやの中に熱がこもらないよう、日の出前のまだ暗いうちに行うという。毎日2時起きで、3~5時ごろにかけて収穫する。真っ赤な太陽がのぼってくるのが見えると、「あぁ、ご褒美なんだ」と思うそうだ。
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