
前号まで2回にわたって書かせていただいたブロッコリーは、緑黄色野菜の王様といわれる。緑黄色野菜って読んで字のごとし、緑や黄色が濃い野菜のことでしょ?と思っているアナタ、実はそうでもないのだ!
例えば、発芽したばかりの大根の新芽、貝割れ大根。葉っぱは緑色だけど、発芽してしばらくは遮光して育てるので、ヒョロヒョロした茎の部分は色白だ。何となく、淡色野菜っぽいかな?という気もするが、れっきとした緑黄色野菜なのだ。ついでにいうと、大根は葉の部分が緑黄色野菜で、根の部分は淡色野菜である。
同じくスプラウト系の豆苗は、えんどう豆の若い芽だ。コレもやっぱり緑黄色野菜で、成長してさやが付き、若いうちにさやごと食すさやえんどう(絹さや)も緑黄色野菜。なのに、もっと育って中身の豆を食すグリーンピースは、その名に緑と付いているのに淡色野菜なのだ。一体ナゼ?
答えは、厚生労働省の栄養指導で定められているから。緑黄色野菜とは、可食部100グラム当たりのカロテン含有量が600マイクログラム以上のものを指すそうだ。トマトやアスパラガス、ピーマンなど一部の野菜は、カロテン含有量600マイクログラム未満だが、「摂取量及び頻度等を勘案の上、栄養指導上緑黄色野菜とする」とされている。
トマト100グラム当たりのカロテンは540マイクログラムと規定にはちょっぴり足りないが、ミニトマトには何と960マイクログラムもあるという。知らなかった! 他にも、同じレタスでもフツーのレタスは淡色野菜だが、水耕栽培のレタスやサニーレタス、リーフレタスは緑黄色野菜なのだそう。意外と分かりにくい。…というワケで、ここでちょっとクイズ!
問題…次の中で、緑黄色野菜はどれでしょう?
(1)カボチャ(2)ズッキーニ(3)キュウリ(4)キャベツ(5)ナス(6)黄ピーマン(7)トウモロコシ
ズッキーニって、ウリ科カボチャ属だからカボチャの仲間。キュウリも同じウリ科。ナスは色が濃いし、黄ピーマンやトウモロコシは黄色い。…なんだけど、正解は何と、(1)だけ!
カボチャは緑黄色野菜の代表選手の一つなのに、仲間のズッキーニやキュウリは淡色野菜。ナスもそうだが、切り口が白ければ大抵淡色野菜だ。キャベツはやっぱり淡色という感じだが、その変種である芽キャベツは緑黄色野菜だ。ピーマンと赤ピーマンは緑黄色野菜なのに、黄ピーマンだけカロテンが足りないようで、仲間入りできず。トウモロコシは49マイクログラムと、思いのほかカロテンの含有量が低い。スイートコーンは未熟のトウモロコシで野菜に分類されるが、本来はイネ科の穀物なのだ。
厚生労働省では、成人の野菜摂取の目標量を1日350グラム以上としている。これは生野菜だと両手3杯分、ゆで野菜なら片手3杯分くらいの量なのだそう。そのうち緑黄色野菜を120グラム以上と摂取目標を定めているため、緑黄色野菜にばかり目が行きがちだが、淡色野菜だって負けちゃあいない。続きは次号で!
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。