先日、知人の地元の特産品、「おおまさり」をいただいた。千葉県が14年もの歳月をかけて開発、平成19年に品種登録出願、21年に販売開始した落花生だ。なにしろ、超巨大! 普通の落花生の2倍はある。5センチ以上のさやの中に2粒入っているから、1粒3センチほどもあるのだ。
いただいたのは、掘りたてのおおまさりをゆでて冷凍したモノ。解凍するだけで、超美味なゆで落花生が楽しめちゃう♪ 大きいだけじゃなく、甘みも強く濃厚。ホクホクの食感は、芋を食べているかのよう。見た目のインパクトも食べ応えもバッチリ。「大きさも味も勝る」という名の通りだ。
ここまで大きく育てるには時間がかかり、二毛作ができない。また、ゆで豆用品種なので、収穫後すぐに加工しなければならず、1日に収穫できる量が限られてしまう。それで栽培する農家が少なく、希少な品種なのだ。収穫は9~10月ごろ。ゆでおおまさりは保存が難しく、かつてはその時期に地元でしか食せなかった。現在は冷凍品のほか、90日間保存可能なレトルトも販売されているという。いつでもどこでも食べられるようになったとは、技術の進化に感謝である。
ところで、落花生を南京豆やピーナツとも呼ぶが、一体どれが正解なの? 実は南米アンデス地方原産の落花生、日本には東アジア経由で、江戸時代に中国から渡来したといわれる。だから、中華料理店でお通しとして提供されるような薄皮付きの状態を南京豆と呼ぶのだ。そして、「バタピー」でおなじみの薄皮をむいたものをピーナツ、さや入りを落花生と呼ぶのが一般的らしい。
日本では主に酒のツマミだが、海外ではピーナツオイルやピーナツバターの原料として利用されることが多い。意外なのは、ナッツと呼ばれるのに、アーモンドやクルミなどと同じ種実類ではなく、大豆などと同じ豆類なのだ。
国内収穫量トップは千葉県で、84.5%を占めるそうだ。中でも地域団体商標ブランド「八街(やちまた)産落花生」が有名。ゆで落花生以外の製品、つまり通常の焙煎用の豆は、収穫後畑で1~2週間地干(じほ)しした後、株を円筒状に積み上げて1カ月ほど自然乾燥させるという。この、落花生を積んだ山は「ぼっち」と呼ばれ、千葉県の晩秋の風物詩だそう。
落花生は、早朝に黄色い花を咲かせ、昼にはしぼんでしまうそうだ。その花の付け根部分から、硬い茎のような「子房柄(しぼうへい)」が地面に向かって伸びていき、やがて土に突き刺さり、さらに地中へ伸びていく。そして土の中で子房柄の先が膨らみ始め、さやになり肥大して実となる。しおれた花は、子房柄が土に刺さる前に落ちてしまう。花が落ちた所に豆が生まれるから、「落花生」と名付けられたのだ。
それにしても、地上から土の中に潜りこんで地下結実するとは、スゴイパワーだ。その力強さにあやかりたい。含有成分から、生活習慣病予防や老化防止、記憶力アップまで期待できるといわれている落花生、もっと食べよう♪
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。