【口福のおすそわけ 495】こだわりのタイ料理~後編~ 竹内美樹


 前回の続き。タイのベトナム風生春巻き「ポピア・ソッド・ユアン」。本場ベトナムの「ゴイ・クオン」とどう違うのか? エビや豚肉、野菜などをライスペーパーで巻くのは両者同じだが、中に入れる麺がチト違う。ベトナムでは米粉麺「ブン」を入れるが、タイでは春雨を使うことが多い。

 一番の違いはソースだ。ベトナムでは、魚醤(ぎょしょう)ヌクマムをベースにしたタレ「ヌクチャム」か、ピーナッツペースト入りのみそダレ。タイでは「スイートチリソース」、別名「ナムチム・ガイ」で食す。ナムは液体、チムは浸すという意味で、ガイは鶏だから、タイ式焼き鳥のタレってところか。唐辛子と砂糖、お酢、ニンニク、塩などで作る、甘くて辛くて酸っぱいソースだ。鶏肉だけでなく何にでも合う万能タレとされる。

 さて、ここからが本題。この店「タヒチ」で生春巻きと提供されるのは、ヌクチャムでもスイートチリでもない。奇麗な緑色のグリーンソースなのだ。レモングラスや大葉、ミントなど、11種類もの素材で作られているという、同店自慢のオリジナルソース。目に鮮やか、味は爽やか!

 続いて、筆者リクエストの「有頭エビの揚げトースト」。定番の食パンにエビのすり身を載せて揚げたヤツを想像していたが、登場すると度肝を抜かれた。食パンではなく厚切りのバゲットから、エビの頭がそそり立っているではないか! 2個1セットで、もう片方からは尻尾が飛び出していた。超ド迫力。やわらかなすり身と、カリカリに揚がったエビの頭のハーモニーがベリウマ♪

 そしてお次は、同席者のリクエスト、「トムヤムクンピザ」。酸っぱ辛いトムヤムクンスープ味のピザなんて、どうなんだろう?と思ったが、意外にもチーズによく合う。考えてみたら、ピザに合うタバスコソースも、辛味だけでなく酸味があるから、合わないワケがないのだ。サクッとクリスピーな生地も、シェフの手作りだそう。エビの濃厚なうま味も感じられ、ヤミツキになりそうな味だ。

 タイ料理といえば、やっぱコレでしょ!と、次はタイ風焼きそば「パッタイ」。中細のセンレックという米粉麺とエビやニラ、もやしなどを炒めた物。甘過ぎず絶妙な味付けも、モチモチなのにコシがある麺の硬さも、完璧な仕上がり。

 メニューには、このパッタイなど、パクチーを使用している料理にパクチーマークが。長野県の自社農園で無農薬栽培したものだそう。香り高く、茎までやわらかい。また、甘い味付けの多いタイ料理だが、甘みは全ててんさい糖を使用しているそう。ミネラルやオリゴ糖が豊富で、他の砂糖よりGI値が低く、血糖値が上がりにくいとされる。これも同店のこだわりだ。

 怒涛の9品のラストは、りんごを食べて育つ、A5ランクの信州牛のステーキ。ジューシーで、うまみと甘みのあるお肉を、特製のタレでいただく絶品だ!

 口福な夜に感謝♪ ほかにも食べてみたいお料理がたくさん! また行かなくちゃ。

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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