東京台場にある、ニッコー・ホテルズ・インターナショナルの最上級ブランド「グランドニッコー東京 台場」。その最上階30階に位置する「The Grill on 30th」は、足を踏み入れた瞬間、目の前に東京ベイエリアのパノラマビューが広がる、まさに天空のレストラン。先日、ディナータイムに伺った。窓の向こうには、ライトアップされたレインボーブリッジ、その奥には東京タワーが輝き、まるで宝石を散りばめたようなきらめく夜景が! このラグジュアリーな空間は、塚田忠保代表取締役社長総支配人の指揮のもと、30階レストランフロア全体をリニューアルしたことで生まれた。ホテルのコンセプトの「東京を楽しむ 東京をくつろぐ」を体現したレストランだ。
地上100メートルからの景色を眺めながらいただいたのは、「シェフズセレクション ~宮城コース~」。同館では現在、多彩で豊富な農水産物に恵まれ「食材王国」と呼ばれる、宮城県産食材を存分に味わえる、「宮城フェア」を開催中。同店の他、「鉄板焼 銀杏」「中国料理 桃李」で楽しめる。
まずは冷前菜「宮城県産サーモン銀王と三陸産ホタテ貝のルーロー 新タマネギのムースとほやのアクセント」。「銀王」とは、ハーブやビール酵母などをブレンドした特別な餌を食べて育ったブランド銀ザケ。日本ではさまざまな種類のサケが流通しているが、実は銀ザケは日本の漁業水域では水揚げされていない。宮城県は、全国の養殖銀ザケシェア90%を占めるのだ。国内で初の銀ザケ養殖事業化に成功した女川町は、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた。そこから立ち上がり、今もおいしい銀ザケを提供してくれることに感謝。
美味な三陸産のホタテを銀王で巻いたルーロー。お皿に絵を描いたように、新タマネギのムースとホヤ、シトラスのソースと縦に並んでいる。ルーローとは、フランス語で巻き物を意味するそう。生で食せる銀王、脂が乗り、口の中でとろける。今までホヤがちょっぴりニガテだった筆者だが、コレはおいしくいただけた。宮城県は、全国の養殖ホヤ生産量の約8割を担っている。ちなみに、ホヤは貝でも魚でもなく無脊椎動物。
続いて2品目は、温前菜の「宮城県産みちのく森林鶏のスモークグリル 蔵王クリームチーズリゾットとせりのエッセンス」。ドーム型のガラスのふたを開けると、中から薫香(くんこう)のする煙が出てくる。みちのく森林鶏とは、森林のエキスと呼ばれる、木酢酸炭素末吸着飼料を餌に加えることで、鶏の健康増進を図ったブランド鶏。ジューシーでうまみが強いのが特徴だ。添えられたリゾットは、蔵王山麓の牧場でのびやかに育った牛の牛乳で作ったクリームチーズを使用。むっちゃ好みの味で大満足。
仙台せり鍋で知られるせりは、宮城県で江戸時代から栽培されている特産品。全国1位の生産量を誇る。香り高いせりのソースが、彩りと味に華を添える。ぜいたくなひと時の続きは、次号をお楽しみに♪
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。