今夏もインターンシップで世界遺産・石見銀山がある島根の大田市大森町の皆さんにお世話になった。最終発表会では別れを惜しんで泣き出す学生もいて、地域の方たちが、いかに大切にしてくださったかを感じ入った。
地域を歩かずに語る人は数字だけをみて、「石見銀山は低迷しているでしょう」と言う。それはとんでもない間違いで、世界遺産に登録されてから住民たちが話し合い、先行地域を視察して、「あのようには、ならないようにしよう」と固く誓いあったという。
その視察先では、観光客でごった返すなかレンタカーが細い道を駆け抜け、あちらこちらにゴミが散乱していた。「オーバーツーリズム」という言葉が、ちまたに広まる以前のことである。
一方で、地域の人いわく「緻密に丁寧に、かつ戦略的に」進めてきたのが、移住者の取り込みである。補助金をばらまいて粗削りに募集することはしない。静かに温かくお迎えして、町になじむように移住者数を増やしてきた。なので一見して、誰が移住者で、何年暮らしているのかは分からない。
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