海外OTAオンライン旅行会社の予約トラブルを、近ごろよく耳にするようになった。コロナ明けで一斉に人が動き、海外旅行を本格再開した人たちが増えていることが背景にある。
国民生活センターへの苦情件数が昨年来、増加しており、さらに提携先施設への支払い遅延で集団訴訟が起きるなど、悩ましいニュースが相次いだ。海外OTAが、消費者保護の観点にあるわが国の旅行業法の下にないことを、一般消費者が認知していないことも浮かび上がった。海外OTAとの間で生じたキャンセル料などのトラブルを、国内法で裁くことはできない。「自己責任」という概念が、さらに重要味を増しているのが分かる。
チャットGPTなど生成AIの発達で、旅行市場は大きな変革を遂げている。カスタマーサービスも今や、AIが主流。チェックアウトの時間や駐車場の有無などは、24時間、チャットで答えてくれる。しかしキャンセルトラブルなどの複雑な内容に、納得がいく回答が得られないのが難点だ。
海外OTAごとに、また商品ごとにキャンセルポリシーが異なり、国・地域によってはクレジットカードでオーソライズしたデポジット(一時預り金)があらかじめ必要なケースも。使い慣れていない利用者にとっては不安も大きい。一方で、インバウンドの急増で海外OTAは今や、なくてはならない存在になった。日本上陸時には空白地帯だった旅館契約が進んだことも理由に挙げられる。
会員向け記事です。