【地域創生と観光ビジネス62】今年もありがとう!「ツーリズムEXPOジャパン2024」を振り返って 淑徳大学経営学部観光経営学科学部長・教授 千葉千枝子


 東京ビッグサイトで開催された「ツーリズムEXPOジャパン2024」(9月26~29日)に、今年も淑徳大学でブースを出した。学部長就任の折に毎年、出展できるよう学内で予算化して、もう7年になる。だが、コロナ禍や地方都市開催で出展がかなわない年もあった。
 東京開催は実に2年ぶり。観光系の教員総出で、ゆるキャラのSHUKUTOKUMA(シュクトクマ)とともに東京ビッグサイトに乗り込んだ。教え子たちが働く東京ベイサイド潮見プリンスホテルに宿をとり、レストランで応援会食をしながら教員と卒業生とで絆を深める良い機会にもなった。

 やはりエキスポは、観る以上に「出す」(出展する)ほうが参加の意義や学びの効果が高い。資材の高騰、物価高騰でブース出展料が跳ね上がり、多くが手弁当になりつつある。次年度以降、これをどう克服するかも課題となって浮かびあがった。

 かつては点在していた大学ブースだが、「アカデミーエリア」として集約したことで、観光人材の育成が可視化されたのは言うまでもない。各大学の特色も比較しやすくなった。日ごろの成果を学生たちが発表できる貴重な場にもなっている。

 18歳人口の減少で高等教育の募集入試は、奪い合いの様相を呈している。自分ごとだが、幸いなことに定員割れすることなく学部運営を進めてこられた。だが今後は油断できない。一方で、業界は人材不足、人手不足が深刻だ。観光系アカデミーが一丸となって、観光教育の必要性を訴える機会を、さらに創出していくことも重要ではないかと思い知らされた。

 さて、業界に長い人たちにとって旅の祭典・ツーリズムEXPOは、まさに同窓会の場でもある。久々の再会で抱き合う姿があちらこちらで見られた。筆者も同様で、これこそ互いの生存確認である。

 四半世紀近く、毎年欠かさず見守ってきたエキスポ。これまでの自身の歴史を振り返ると胸が熱くなる。「旅フェア」での学生アルバイトを皮切りに、「旅行博」ではロングステイ財団のブースをはじめ各政府観光局、航空会社でのミニ講演、記者席での取材や記事執筆など、折々でたずさわってきた。

 旅の仕事はいったん離れてもいつでも帰ってこられる場所である。「おかえりなさい」と皆が迎えてくれる。業界に残る人は何があっても残っている。それこそが”旅のチカラ”で、旅の魅力と言えよう。出戻り人材を期待したい。

 今回のエキスポで印象的だったのが、初日のTEJ観光大臣会合でスピーカーの多くが、イマーシブ(没入感)という言葉を用いていたこと。単なるマーケティングだけでは及ばない市場であることを共有した。

 基調パネルディスカッションでは、おうめ観光戦略推進懇談会で委員をご一緒する株式会社さとゆめの嶋田俊平社長が語った「名もなき地域を目的地にしよう」という言葉が印象的だった。

 特にうれしかったのは、今年のスペシャル・サポーターで俳優の山口智子さんが、トークイベントに立った場面だ。兼高かおる基金代表理事の長内恵子さん、JATAの阿部かすみさんら多くの方々のご尽力の賜物と拝察する。
 来年、愛知で会いましょう。

 (淑徳大学 学長特別補佐・経営学部学部長・教授 千葉千枝子)

 
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