【地方再生・創生論 263】小学校で歯磨き指導を 松浪健四郎


松浪氏

 歯を食いしばってプレイするスポーツが、たくさんある。それらのプレイヤーたちは、たいてい歯を悪くする。近年、マウスピースを用いて歯にかかるダメージを弱化させる。また、ぶつかって歯をグラグラにさせる危険もあるため、マウスピース使用が一般化している。

 私は米国留学中に「親知らず」が顔を出した。これは痛い、集中などできず無気力になる。コーチが近くのミシガン大病院に案内してくれた。歯学部学生の実習で抜いてもらう。つまり練習台、そのかわり治療費はタダ。

 多分、私は歯磨きが下手だった。面倒くさがり屋だったから、小学生時から熱心に歯磨きをせずにいた。それでも、あまり虫歯にならなかったが、歯槽膿漏で歯ぐきがグラグラ、62歳でついに上下全部入れ歯となる。

 歯は大切である。親がもっと小学生時代に熱心に歯磨きを強制してくれていたなら、口腔機能を健全に保つことができたと思う。小学生時、年に1度は学校で歯科医のチェックを受けたが、虫歯の本数を調べるだけ。教育委員会は、歯について本気になって考える時代でもなかったし、歯科医もそれほどわが街にはいなかった。

 現代では歯科医が増えすぎるほどだから、学校教育内できちんと「歯」について歯科医に指導してもらうようにすべきである。歯の調子が悪いと元気がなくなる。行動力にも影響を及ぼす。何よりも歯の美しさは美人にも通じる。子どものころから歯を意識する人間にしておかないと、私のように手遅れになってしまう。歯に対する動機付けが大切なのだ。

 給食後、全員で歯磨きをする。食後の歯磨きの習慣が大事である。教育委員会は、各学校に歯磨き習慣を身に付けさせるために、徹底的に指導してほしい。正しく歯磨きのできる子どもに育て、食育や健康維持へと結び付ける必要がある。

 食習慣や口腔機能の基礎が完成する小学生時に、きちんと「歯」についての知識を教え、虫歯のない大人をつくるべきであろう。全国的に歯磨きを競わせ、歯の美しさや虫歯のなさをアピールし、健康人間づくりに真剣に取り組むべきだ。健康の第一歩は、健全な歯を持つことに尽きる。永久歯が虫歯にならないように、歯科医と養護教諭がタッグを組み、上手に歯磨きを教えてほしいものだ。

 6歳前後に生えるとされる奥歯の「第一大臼歯」を、ほとんどの子どもが磨くことができず、生え始めてしばらくして虫歯になるケースが多いとされる。歯磨きには、技術指導とともに歯ブラシのチェックが求められる。古くなった歯ブラシでは、きちんと磨けない。

 各小学校は、歯磨きタイムを給食後に設け、「虫歯の児童のいない学校づくり」に取り組むべきだ。高齢化社会にあって、幼少時から歯の管理について教え、習慣として身に付けさせてほしいと強く願う。口腔の健康は、つまるところ身体全体の健康につながる。

 近年、歯科医の口内のがん発見率が高い。その理由は、患者は口内炎と勘違いして放置して歯に影響を及ぼしだしてから歯科医院に行くからだという。口内の危機管理には日本人は鈍感らしい。私自身もそうだったと反省する。

 私の歯周病は、糖尿病との因果関係であったと歯科医に言われた。まさか糖尿病が口内と関係があるとは想像もしていなかっただけに、歯を全て抜いてから知った。まさに「後の祭り」であった。歯科衛生士や栄養士などと連携し、食育にも注意を払わねばならぬ。

 食についての心配ごとを、子どもたちが抱える。アレルギー性食物が増加したり、子どもたちの体質も多様化していて難しい時代である。現在の歯科医は、食についても指導してくれる。口に異常があれば、すぐ歯科医に相談するように心掛けておくように。

 ともあれ、子どもたちの歯を徹底的に守る自治体でなければならない。「虫歯ゼロの学校」を作るために教育委員会が取り組むべきだ。その重要性は、年を重ねてから理解できる。

 
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