口コミ評点は合格点をキープしている。お客さまのアンケートでもまた来たいとの回答が多い。でも年々集客が減少し、営業赤字から脱却できない。一定数のお宿がこのカテゴリーに属しています。
これらのお宿ではお客さまの高評価と経営状況は必ずしも一致しないため、解決の糸口が見つからないというもどかしさがあります。
昭和から平成、そして令和へと歩んできた旅館業界は、バブル崩壊やリーマンショック、東日本大震災、コロナ禍を経て超円安時代へと移りました。大きな苦難を経験しながらも、トップを行くお宿の後をついていけば、お客さまがわが宿にも流れてくるという感覚が染みついていました。
これは旅館業に限らず大きな流れに乗れば、何とかなるという、単一的な構図が長く続いたからです。
ところがお客さまの多様な価値観、選択肢の爆発的増加といった大きな変化が影響し、わが宿はこれからどうしていけばいいのだろうかと、経営者が迷走する時代へと突入。危機感を抱いている経営者は、集客アップ策に取り組み、他館との差別化を図ろうと魅力的なプランを打ち立て、それでも反応が鈍いと値下げを行い、価格勝負の土俵に登ってしまいます。
その結果、一時的に集客アップは図られ、売り上げは上がっても、収支結果はやはり赤字。現場はとても忙しかったのに、利益は計上されない。疲弊感だけが残ります。
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