先日、高額小規模旅館の接客研修でAさんから二つの質問があった。一つはリピーター客Cを専属で担当する接客係Bさんのサービスが「過剰サービス」かどうかを判断してほしいというもの。もう一つはそのサービスを他の顧客と同じ標準化されたサービスに戻すことは可能かというものだった。
Aさんが指摘するBさんの過剰サービスとは、「客室内のバスタオルを通常、2枚のところを3枚セットすること」と「朝食後のコーヒーポットを、2名で一つのところを各人に一つずつ用意すること」だった。
いずれのサービスも高額な宿泊料金から考えると目くじらを立てるほどの過剰サービスとは言い難い。むしろ、コーヒーポットを1人ずつ提供するのは、同等クラスの宿泊施設ではすでに当たり前ともいえる。にもかかわらず、これらを過剰サービスと主張するのはAさんだけではなかった。
詳しく話を聞いていくと、Aさんたちの懸念はバスタオルやコーヒーポットによる「過剰サービス」ではなく、その行為によって自分たちの仕事が増える「過剰業務」への不満にあることが見えてきた。自身の権限でサービスエンカウンターをコントロールし、顧客から高い評価を得たBさんだが同僚からは「自分のお客にいい顔したいだけでしょ」と本音が漏れる。
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