【学術×現場 9】合理的配慮は当事者との建設的対話から始めよう 福島規子


全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の「障害者差別解消法に関するアンケート Webアンケート集計結果」(2023年9月4日時点数値・厚労省資料抜粋)によると「合理的配慮」という言葉を知っていると答えた施設は42.6%、意味は分からないが聞いたことはある施設は27.3%、知らなかった(このアンケートで知った)と回答した施設は30.1%だった。合理的配慮の意味が分からない、聞いたことすらないという回答を合わせると57.4%、つまり、半数以上が合理的配慮について関心がないことになる。

 さらに、この「合理的配慮」が令和6年4月から事業者である旅館においても義務化されることを知っていると回答した施設は28.9%と、3割にも満たなかった。

 ところで、令和5年12月13日に施行される新旅館業法では第5条第1項第2号(3)に宿泊しようとする者が、「宿泊に関し暴力的要求行為が行われ、又は合理的な範囲を超える負担を求められたとき」は、宿泊を拒否できると明記される。

 今回の改正ではカスタマーハラスメント対策が盛り込まれており、不当な割引や契約にない送迎等の過剰なサービスの要求や、対面や電話で長時間にわたって不当な要求を行う行為、従業員に対する身体的、精神的な攻撃、土下座の要求などを繰り返す顧客については宿泊を拒否できるようになる。なお、ここでの「合理的な範囲を超える負担を求められたとき」とは、あくまで理不尽な要求や振る舞いを行う顧客に対してであり、障害者の受け入れは手間がかかるからといった障害を理由にした宿泊拒否は許されない。

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