今回は、新たに調査しましたポスト・コロナ時代の顧客ニーズおよびそれらに対する対応についてご紹介したいと思います。まず「さまざまな料金の支払いはなるべく非接触型のスマホ決済等を使いたい」と考えている人の割合について、1年前と現在を想定、比較してもらい調査を行いました。
1年前であれば「ぜひ使いたい~やや使いたい」との回答者が39.5%であり、一方現在では61.5%という結果でした。3密を避けること、非接触型オペレーションを徹底すること等はCovid―19が終息するまでの対策としては重要な取り組みでしょうが、ポスト・コロナ時代を見据えますとどうなのでしょうか。
今回のパンデミックによる価値観への影響は計り知れず、弊社が実施したニーズ調査では、外的な報酬や評価に動機付けられた旅行ではなく、より個々人の内面の満足感を重視する内発的な動機付けが働いている様子がうかがえました。つまり個々の顧客への共感性あるサービスが求められ、安心して滞在いただき、温かい気持ちでおもてなしをすることで満足感を感じていただくことがこれまで以上に重要となるはずです。
ポスト・コロナ時代においては非接触型の手続きを徹底するというのではなく、顧客がそれほどまでに不安感を持っているという事実認識のもと、どのようなお声の掛け方や所作、公衆衛生上適切に管理された空間を用意できるか、どれほどの防疫体制の構築が不安感を拭えるのか、そしてその結果としてどのようにすれば共感性あふれる心が通うような接遇場面をつくれるのかを考えるべきではないでしょうか。
次に「換気ができる(設備があるか、少しでも開閉可能)窓があるとうれしいか」を同様に調べてみますと、1年前であれば「強くそう思う~ややそう思う」との回答者が75%であり、一方現在では85%という結果でした。またこの場合「強くそう思う」との回答だけを比較しますと、1年前が25.5%、現在が45%という結果であり、客室内換気状況に非常に敏感であることがうかがえます。開閉が困難なホテルやその他施設であれば、それに代わる安心できる2方向換気での清掃を徹底し、空気清浄化をどのように行ったかを事前情報として伝えておくことで、快適に客室を使用していただけるのではないでしょうか。
また「空気清浄機があるとうれしいか」と尋ねますと、1年前であれば「強くそう思う~ややそう思う」との回答者が81.5%であり、一方現在では85%という結果でした。「強くそう思う」との回答だけを比較しますと、1年前が23%、現在が43%という結果であり、空気清浄機に対するニーズが大きく上昇していることがうかがえます。
食事に関しては、ルームサービスに対するニーズでは、夕食に関しては「強くそう思う~ややそう思う」との回答者が47.5%、「あまり思わない」が24.5%、朝食に関しては「強くそう思う~ややそう思う」との回答者が48%、「あまり思わない」が21%という結果であり、これは1年前と比較はしていないものの、3密を避けるという意識が強く働いていることを想定しますと、ニーズが増加しているものと考えられます。どのようなルームサービスの提供が可能であるか、顧客ニーズに合致した取り組みとはどのような内容であるのか、今こそ調理場、サービススタッフが一丸となって検討する必要がありそうです。
最後に「ロケーションは繁華街でない方がよい」と考えている人について、ビジネス目的での滞在と観光目的での滞在を比較してみます。ビジネス目的の場合は「強くそう思う~ややそう思う」との回答者が53.5%、「そう思わない」が18.5%、観光目的の場合は「強くそう思う~ややそう思う」との回答者が65%、「そう思わない」が11%という結果でした。これもできるだけ3密を避けたいという思考が影響しているものと思われます。仮に観光ホテルで繁華街に所在していれば、マスクをサービスする、風除室に消毒用噴霧器を設置する、その他宿泊客が安心できるようなサービス提供にはどのような内容が考えられるかを社内で議論し提供することが求められていると考えられます。