【寄稿 学術論文】インクルーシブツーリズムの概念を含むユニバーサルツーリズムの更なる概念提示 JTBトラベル&ホテルカレッジ講師・旅のユニバーサルデザインアドバイザー 竹内 敏彦


論文要旨

Scheyvens & Biddulphは“Inclusive tourism development(2017) ”において、インクルーシブツーリズムを「あらゆる形態の疎外された人々や組織が観光の倫理的な生産または消費とその利益の享受に関与し参画する変革的な観光」と定義し、その概念を7つの要素として説いている。本論はこの概念を考察した後、この定義を応用し、障害のある人を主な対象としたユニバーサルツーリズムの定義「すべての人が楽しめるよう創られた旅行であり、高齢や障がい等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行」に新たな概念を提言するものである。その研究方法は、障害のある人とない人が「共に旅する」事例検証を試み、さらにその参加形態や旅行契約形態が関係することを実証することとする。そして本論ではユニバーサルツーリズムの定義を、「すべての人が」ではなく、「すべての人と」と読み解き、認識することを提言する。加えて、その一語の変革を意識し、「共に旅する」理念を実践すること。その意志に基づく実践により、観光で世の中を変容させていくことを望むものである。

キーワード

アクセシブルツーリズム、インクル・ソリューションズ社、障害の社会モデル、

「共に」の理念、合理的配慮、募集型企画旅行

 

1.はじめに(研究の背景、目的、研究の方法)

観光庁は2014年(平成26年)度事業報告書において、ユニバーサルツーリズムを、「すべての人が楽しめるよう創られた旅行であり、高齢や障がい等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行を目指している」と定義しその普及・促進を図っている。その対象者は、高齢者や障害のある人だけではなく、旅行をする上で何らかの不自由さを抱える妊産婦や乳幼児連れ、並びに言語や習慣の違いを持つ外国人などハードのみならずソフトのバリアを感じているすべての人たちである。また、東京都は、アクセシブルツーリズム推進のために様々な事業に取り組んでいる。アクセシブルツーリズムとは、「ユニバーサルな形でデザインされた旅行商品やサービス、環境を提供することで、運動、視覚、聴覚、認知面でアクセス補助を必要とする人が、独立して、そして公平さと尊厳を持って機能できるようすることである。この定義には、ベビーカーに乗るような年齢の子どもを連れた旅行者、障害のある人、そして高齢者を含むすべての人が含まれる」とされている。欧米ではアクセシブルツーリズムという表記が一般的であり、ユニバーサルツーリズムは日本独自の概念である。

欧米で一般的に用いられるアクセシブルツーリズムには、当事者の主体性の尊重が重視されているが、日本のユニバーサルツーリズムは、どちらかといえばハード系の環

境デザインから発展してきた。よって、日本ではユニバーサルツーリズムという表記が多く、さらにアクセシブルツーリズムは同義語として解釈されている。この2つの定義に共通していえることは、「すべての人」という概念が謳われてはいるが、主に障害者等(身体・精神・知的・発達障害者等)に関する文脈であるという点である。そして、観光困難者である障害者等の別の方法での観光へのアクセスに焦点が当てられているのである。

一方、インクルーシブツーリズムは障害のある人もその対象であるが、「あらゆる形態の疎外された人々や組織による観光」と定義され、貧しい人々の観光や、観光からの利益の経済的シェアなど経済的および社会的な概念にも焦点が当てられている。インクルーシブは日本語では、「包み込む・包摂的な・すべてを含む」などと訳されるが、特に学校教育の現場で使用されるインクルーシブ教育より「排除のない・一緒に」という意味合いが強く認識される概念である。文部科学省「障害のある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮及びその基礎となる環境整備」(2012)においても、「共に学ぶ」ことにより偏見や差別が解消されていくというインクルーシブ教育の概念を、「共生社会の形成にむけ国民の理解を進めインクルーシブ教育システムの構築の推進の優先順位を上げていくことが必要である」と記されている。またインクルーシブの実践には教育の他に就業があげられる。日本では、障害者雇用促進法により、すべての事業主に一定割合の人員の障害のある人の雇用が義務づけられている。メリットと共にデメリットも存在するが、「共に働く」ことにより「職場内のコミュニケーションの向上が図られる」などのプラスの効果が観ることができる。

本論の目的は、インクルーシブに含まれる「共に」という理念を観光に適応させていくことを提言するものである。具体的には、インクルーシブツーリズムの概念を含む、更なるユニバーサルツーリズムの定義を提言するものである。義務である教育や就業と、個人の趣味嗜好として提供される観光では、その適応法に違いがあることは当然である。しかしながら、「共に」という理念をすべての旅行形態に適応させ実施することは困難であっても、その理念を認識し実施させようとすることは大いに意義のあることである。研究方法としては、まずインクルーシブと冠がつくインクルーシブツーリズムの定義の考察を行う。次に実際に「共に旅にでる」ことに関する事例検証を行い、旅行形態やその契約形態が関係することを検証する。

そして本論は、多様な人々がこれまでにない組み合わせによりイノベーションを起こし、観光により世の中が変容していくことを望むものである。

 

2.インクルーシブツーリズムの定義

2013年ミャンマーで開催された世界経済フォーラム(WEF)東アジア会議にて、インクルーシブツーリズムの概念は提言された。その席上においてアセアンにおけるインクルーシブツーリズムとは、「観光振興が一部の地域や観光従事者だけに利益や恩恵が偏ることなく、地域やコミュニティー全体、農業などの他産業の従事者を巻き込み、さらに女性の社会進出の支援を促すツーリズム」という観光振興そのものに対する問題提起を含む概念であった。この提言は、観光地が一部の特定階級がその地を消費することによってもたらした弊害をも提示した。つまり、消費する側と消費され

る側という構造が生まれることによって、観光地は主にその地域以外の企業に利益をもたらし、地域の人々や資源は搾取され、特定階級のための排他的エリアとなっているという観光の負のインパクトの提言である。

これらの問題点を解決すべく2017年スケーブンス&ビドルフは、公正で包摂的な利益配分や持続可能な社会を創る観光の概念としてインクルーシブツーリズムを定義した。本章では、その理論を考察し、更なる解釈を提示する。

スケーブンス&ビドルフ(2017)によれば、インクルーシブツーリズムは、「あらゆる形態の疎外された人々や組織が観光の倫理的な生産または消費とその利益の享受に関与し参画する変革的な観光」と定義されている。誰が疎外されているかはその地域によって異なる。例えば、富裕層と貧困層・マジョリティ(多数派)とマイノリティ(少数派)・男性と女性・健常者と障害のある人など権力や発言力を持たない対極の集団が想定される。そしてインクルーシブツーリズムの重要な概念は、「倫理的な変革」である。倫理的変革とは、不平等を解消し、あらゆる集団の分断を克服し、偏見や固定観念、一般化された歴史に異議を唱え、マイノリティな状況を理解するために人々の心を開放させること、さらには環境に対する責任をも含むものである。それは国境といった境界線をも無効としグローバルな北と南の両者にも適用される。インクルーシブツーリズムは、経済的および社会的な焦点のみならず人間関係の質にも焦点をあてる概念なのである。

インクルーシブツーリズムは、これまで多くの人々が観光によって排除されてきたことを認めるものである。そして、あらゆる場所でのすべての人にとっての課題解決となる概念である。インクルーシブツーリズムの概念には、以下の要素が含まれている(表-1)。

 

表―1 インクルーシブツーリズムの7要素

1 疎外されてきた集団に対する障壁を除去し、生産者として観光にアクセスできるようにする。
2 疎外されてきた集団に対する障壁を除去し、消費者として観光にアクセスできるようにする。
3 新しい目的地(デスティネーション)が観光マップ上に載る機会を創り出す。
4 観光開発の現場において多様な立場の人々が意思決定に参加できるようにする。
5 ホストとゲストの相互理解と尊重を促進し、学習と交流、相互利益をもたらす関係を構築する。
6 これまで疎外され抑圧されていた人々による自己表現を促進し、自分自身の物語を語り、自分自身の文化をその人々にとって意義のある方法で表現できるようにする。
7 既存の支配的な権力関係の変革を唱える。

(出所)Scheyvens & Biddulph(2017)より筆者作成

スケーブンス&ビドルフが示す概念的な枠組みであるこの7要素は、観光を通じたインクルーシブに向けての取り組むべき具体的な方法や方向性が示唆されている。そしてスケーブンス&ビドルフは、旅行者は平和の大使となり疎外された人々のアクセスを通して、平和観光という概念にも焦点を当てることができると論じている。

本論は、このインクルーシブツーリズムの概念に異論を唱えるものではない。この概念に更なる解釈を提示するものである。具体的には、「倫理的な変革」の一手法の提示である。倫理的な変革の実践に必要なものは何であろうか。それは要素5の相互理解や、要素7の権力関係の変革にその意が含まれるが、改めて「共に」という理念である。つまり、対極にある人が観光にアクセスできたとしても、対極にある人と相互理解や権力関係の変革ができなければ変革ではなく修正に過ぎない。北が南に、南が北に、だけではなく「北と南が共に東西へ」の実践が平和観光に結びつく。つまり、「共に学ぶ」ことにより偏見や差別が解消されていくインクルーシブ教育の概念を観光においても適応させるのである。本論では、「共に学ぶ」一形態に旅が存在すると捉え、「共に旅にでる」ことにより偏見や差別が解消される効果を「共に旅する理念」と表記し考察していくこととする。

しかしながら、その実践は困難を極める。例えば、筆者が障害のある人と好んで旅にでたいか、と問われれば、すべてイエスとはいいきれない。自身の嗜好に合わない設定は旅の商品として成立しない。だが現状では、「共に旅にでる」という旅行形態の存在と、意識的にその効果を享受しようという発想そのものがない。文科省は、インクルーシブ教育の促進を図っているが、従来の特殊教育の場であった特別支援学級と特別支援学校の在籍率は、ここ15年伸び続けている。インクルーシブの概念は教育の現場においても実践過程中なのである。よって観光も臆することなくあらゆる形態の人々や組織との「共に旅する理念」の解釈とその実践に対する試行錯誤が必要なのである。

次章はインクルーシブツーリズム事例検証として、インクルーシブツーリズムへの概念移行、並びに対極の集団と想定される障害のある人とない人が「共に旅にでる」事例検証を試みる。

 

3.インクルーシブツーリズム事例検証(概念の移行と「共に旅にでる」事例検証)

3-1英国インクル・ソリューションズ社 リチャードトンプソン代表インタビュー

THE CONSCIOUS TRAVEL FOUNDATION(2021年10月21日掲載のインタビュー記事)に関して以下、考察する。

インクル・ソリューションズ社は、インクルーシブな旅行体験の実現に向けて新たな認定制度「インクルケア・ヴェリファイド(Inclucare Verified)」を導入した。観光関連産業のあらゆる事業者を対象とし、その制度は、組織が総合的な顧客のインクルージョン文化を創造し、真の意味でのすべての人に配慮するための指針となるよう設計されている。旅行地でのバリアフリー化、障害のある人の支援技術の導入、さらには、経営陣、管理職、顧客対応担当者などを対象とした学習・研修など改善プログラムを継続的に実施し、プロセスを可視化させ目標を達成する。最終目標「インクルケア・プラチナ(Inclucare Platinum)」は優れたインクルージョンの取り組みに対し

て認められる英国規格協会のカイトマークを掲げることができるのである。

自らも交通事故で脊髄を損傷したリチャードトンプソン(2021)によれば、「アクセシブルツーリズムからインクルーシブツーリズムへの概念の移行が必要である」と下記のように論じている。

「現状のアクセシブルな旅行という枠組みがある限り、観光関連産業は法律で規定された項目を充たし、主に建物のバリアフリーや障害のある人の象徴である車いす利用者に焦点を当てた路線を進めることになる。車いすを使用していない93%の障害のある人には対応しきれていないのである。アクセシブルという概念は、官僚的にただ要件をクリアするために取り組まれがちになる。真の意味でのアクセシビリティとは、インクルージョン、すなわちあらゆる人に配慮することである。それには、経験や感性、想いが必要となる。バスルームの面積を調べれば解決できる問題ではない。そして、大多数の障害のある人は、特別な存在として扱われること、様々なマークをつけられることを望んではいない。ただ当たり前の方法で旅行をし、夢や希望を叶えることを望んでいるのである。旅行にとって重要なのは、障害への対処ではなく、どこに行きたいのか、という旅の目的の達成である。障害のある人に限定して企画をするのではなく、障害のある人の要望に応えるための企画が重要なのである」

さらにリチャードトンプソンは、観光関連産業が理解や知識の欠如から抱く、障害のある顧客に対する恐怖心は「障害の社会モデル」の理念がその解決を促すと提言している。

障害はその個人に起因する、個人の責任である、という考え方を「障害の個人(医学)モデル」という。一方バリアは社会側にあるという考え方が「障害の社会モデル」である。つまり、できないのは顧客のせいでも観光関連産業の問題でもない。障害のある人の妨げとなっている物理的、行動的、手続き上の障壁や制約は社会がその顧客に対応できていないからであって、障害は社会が創り出している、という考え方である。よって観光関連産業は、障壁である世の中を変革していけるよう尽力するのである。また、恐怖心を取り除くためには、組織全体で対応することが重要であるとも提言している。何もしないこと自体が差別に繋がる可能性があるが、それは担当者個人の問題ではない。組織の全メンバーが、「包括的インクルージョン・ソリューション」を推進していくための役割を担い、インクルージョンの推進に主体的に取り組んでいく必要がある。さらには、組織の全員が現場で問題解決をできる権限を持つことが大切である。担当者が抱く障害への恐怖心を取り除くことによって、それ自体が力となり、組織全体にポジティブな影響を与えることになるのである。リチャードトンプソンは、真のインクルージョンとは文化的なものであることを認識し、トップダウンでスタートする。そのようなトップダウンによる接遇が、障害のある顧客に自信と希望を与えることになる、と説いているのである。

2022年8月スイスジュネーブ国連欧州本部は、日本政府に対して障害者権利条約に基づき「インクルーシブ教育の権利を保障するため障害児を分離した特別支援教育の中止を求める勧告」を発表した。日本は歴史的に障害のある子どもは、別の場で別の教育を受けることを前提とした教育システムを構築してきた。そのことで、通常学級より個々に対してよりよい配慮が提供されると考えられるのである。しかしながら、

この教育システムは社会の障壁となる一要因であると是正を勧告された。

教育または旅においても、障害を理由に要望とは異なる「別の場を選ばされる、選ばざるを得ない」状態にある。つまりこの勧告は、現況を解決すべく個々の障害に対して社会全体の中で配慮することを求めたのである。社会全体がインクルーシブの実践に移行している。教育または旅においても社会的意識変革が必要なのである。

 

3-2 KNT・JTBの取り組み

障害のある旅行者を対象とした募集型企画旅行商品が存在する。そのツアーの大きな特徴の一つは、ツアー中の徹底した専属添乗員による顧客サポートである。本来、添乗員の主な業務は、「旅程管理」である。旅程管理とは、決められた日程通りの旅の遂行である。よって添乗員は一人の障害のある旅行者に付きっきりになることは不可能なのである。そこで、同様な障壁を持つ障害のある旅行者を募集し、専属添乗員が参加者全員のケアをする旅行商品が造成されているのである。ところが、募集型企画旅行商品の常である、日程が合わない・今一つ旅程を好まない・最少催行人員に達せず催行中止、などの不都合が対象者限定のツアーゆえより顕在化してしまうのである。そこで、特別な配慮を必要とする旅行者の旅行の機会損失を防ぐために、障害のある旅行者が一般のツアーに参加できる環境を整備する取り組みが成されている。

KNT-CTホールディングスは、一般販売されている添乗員同行ツアーを対象に、「トラベルサポーター制度」を導入した。トラベルサポーター制度とは、ツアー参加者が障害のある旅行者をサポートしながら旅を楽しむ制度で、同行するサポーターの旅行代金の一部を利用者が負担するものである。また、音声認識と自動翻訳機能でリアルタイムに文字を表示する「UD(ユニバーサルデザイン)トーク」を利用した聴覚に障害のある旅行者を対象としたツアーも実施されている。

JTBグループは、特定の店舗が一定のノウハウを持つだけでなく、全国の店舗で全社員が、多様な旅行者に対して基本的な対応ができることを目指している。バリアフリー専用商品は、現在は存在せず、一般商品にアレンジやサービスを加えた配慮によってその選択肢の幅を広げ対応しているのである。障害のある一人参加の旅行者には、トラベルヘルパーの手配を勧めている。日々の問題点等の解決は、グループ全社の相談・サポートをおこなう「ユニバーサルツーリズム・ヘルプデスク」が担っている。この組織により、必要なガイドラインや関連情報の整備、事例の共有などが図られているのである。

上記試みは、募集型企画旅行に関する障害のある人とない人の「共に旅にでる」取り組み事例である。トラベルサポーター制度やトラベルヘルパーは、障害のある旅行者が費用負担しなければならない側面は否めない。しかしながら機会損失を防ぐと同時に、その枠組み自体が存在することが精神的充足につながる社会的価値なのである。

一方、旅行会社の大きなマーケットとして、教育旅行(修学旅行)があげられる。教育現場では、多様性の尊重を強化する目的で障害のある生徒とない生徒が共に学ぶインクルーシブ教育が普及し、修学旅行では、学年に数名車いす利用者が参加する場合や、特別支援学校・学級の生徒の参加も想定される。催行例として、障害のない生徒が車いす利用の生徒をサポートしながら旅程を進める学校もある。旅行会社はオー

ガナイザーである学校側に対し全体の旅行企画や、その教育効果に加え、インクルーシブ教育を活かす具体的なノウハウやアドバイスが求められているのである。

 

3-3「ごちゃまぜツアー」介護旅行ナビ 代表堤玲子氏(2021年10月インタビュー実施)

介護旅行ナビの代表である堤氏は鹿児島県旅行業協同組合ソリスターとして様々な旅を手掛けている。また旅のユニバーサルデザインアドバイザー資格推進・介助者育成・同行援護従事者育成・心のバリアフリー(障害の社会モデル)の啓発活動などを主な事業とし、多様な人が共に暮らすための知恵をだしあう場・学び合いの場として、「UD-ラボ(ユニバーサルデザインラボ)」という新法人立ち上げに奮闘中(2022.3.3)である。

その堤氏が企画造成した特化した募集型企画旅行に、「ぶどう狩り&陶芸体験ツアーin日置」がある。2019年7月21日(日)鹿児島中央駅発着で、旅行代金1万円、参加者27名+関係スタッフ数名で催行した日帰りバスツアーである。パンフレットのツアータイトルは前述の記載通り至って普通である。何が特化しているのかというと、ツアーポイントの7つのプレミアム中の2点には下記のような特徴が掲載されている。

・ゆったり行程 赤ちゃん連れもシニアも障害のある方も!

・車いすユーザーさんも乗降楽々 リフト付大型バス

しかしながら、このポイントに反し、障害のある人専用のツアーであるという主旨の文言はどこにも見当たらない。つまりこのツアーは、障害のある人とない人を共に募集するツアーなのである。通称「ごちゃまぜツアー」といわれている。そして、電動車いすユーザー・手動車いすユーザー・視覚に障害のある白杖ユーザー・盲導犬ユーザー・LGBT・赤ちゃん連れを含む多様な旅行者を乗せ出発したのである。

以下、筆者の質問に対する堤氏の回答より本事例を考察する。

通常障害のある旅行者を対象とした募集型企画旅行では、その特徴的なバリアに対応するため、例えばHISユニバーサルツーリズムデスクが実施する「バリアフリー旅行 たびのわ」では車いす旅行者を、「しゅわ旅なかま」は聴覚に障害のある旅行者を想定して造成している。「あえて障害を特定せず『ごちゃまぜ』にした理由は何でしょうか」の問いに対して、「最初はあえて『ごちゃまぜ』を意図した訳ではなかったのですが、蓋をあけてみたら『ごちゃまぜ』になっていたというのが本音です」という回答であった。但し、堤氏のこの回答の背景には確固たる理念が存在する。「高齢者といっても肢体不自由、視覚障害、難聴、認知症など、様々なお客様が存在します。シニア向けツアー自体が既に『ごちゃまぜ』なのです。そして車いすユーザーの方がいける場所なら他の障害のある人も入場できます。日帰りバス旅行ということもありましたが、『弱視ですが。赤ちゃん連れです。盲導犬大丈夫ですか。車いすでも電動なのですが』の問い合わせにOKをだしていった結果、多様なお客様とのご旅行になりました」とコメントしてくれたのである。また様々な障害に配慮すべく行程においては、ぶどう狩りは手を伸ばせる高さにあわせ棚を低くしたり台を置いたりし、陶芸体験は、右利き左利き、手や指の力加減をヒアリング、バスや食事の席の配慮、スロープの設

置、ミルクをあげる時間での授乳スペースの確保、トイレは多機能トイレやLGBTの方へカーテンによる個室化の配慮などをおこなった。

「『ごちゃまぜ』のいいところ、そのツアー効果は何か。参加者のどのような様子からそれを感じましたか」の質問に対し、「障害のあるなしに関わらず、みなで声をかけあい、雨天時は傘をさしあう姿が見られました。白杖ユーザーで弱視のお客様が、『今日は皆さんが危ないところを教えてくれるので白杖は仕舞います』というと、拍手がおきました」という回答を得た。さらに数名の顧客アンケートを紹介してもらった。

 

<配慮が必要な旅行者>

・一般客と同等に扱われたので気持ちが自由になった。

・ほかの障害のある方のことを知れるいい機会だった。

・リフト付きのバスで乗り降りが楽で、高さが気持ちよく個人旅行にはない楽しさがありました。

・子供も小さく、自分が車いすのため普段は体験的な旅が難しいが、今日は家族で楽しめて良かった。

・施設にいると年寄り扱いされ行動が制限されるが、今日は青春だった。

<配慮が必要ない旅行者>

・誤解を恐れずにいえば、多様な障害の方が集まると、障害って消えるんだな、と感じた。これが車いすの人だけだったら、障害者と健常者だけど、今回は誰をサポートしてよいのやら。まあ、いいかって感じで終わる頃には気にならなくなった。

・初めていろんな障害の人を見たけど、一緒にご飯を食べて、おしゃべりをして、普通なんだなと思いました。

・このツアーに興味があった。昼食が終り陶芸をするときは、純粋に面白くなっていた。不思議な体験だった。

 

上記コメントより、現存する社会の障壁(バリア)には、物理的バリア・制度的バリア・文化情報面でのバリア・意識上のバリアという4つのバリア構造があげられるが、取り分け意識上のバリア、つまり心のバリアフリーの実践がいかに大切であるかが理解できる。そして本事例はまさに共に旅にでることによって偏見や差別が解消される「共に旅する理念」の効果を物語るものである。

堤氏は、「障害は一対一で向き合うと相容れない難しさがあります。バスツアーの良さは向き合うのではなく、横並びであるということ。みんなが向かう先に『観光』があり、『わくわく』がある。これからの共生社会の縮図となるような観光を創っていけたらと思います」と語ってくれた。

すなわち、旅の在り方が社会の在り方と捉えられるのである。そして、旅の変容が社会の変容を促すのである。

 

3-4トラベルフリーの会 会長杉山徹氏(2022年3月インタビュー実施)

トラベルフリーの会は、会員数約80名のうち、約半数が障害のある人である。1995年に、「旅の側面から社会環境のバリアフリー化を目指す」ことを目的とし、旅行会社

勤務中に、筋肉の萎縮で両手足が不自由になった杉山徹氏が結成した。その会の特徴は、「会員」は何の束縛もなく、自由に集まり、バリアフリーについて考え、行動し、障害の有無に関わらず「対等」であることである。トラベルフリーの会で用いられるバリアフリーとは、障害のある人の障壁を取り除くという概念に留まらず、そのことですべての人に適応できる世の中を目指している。これまでハワイやオーストラリア、台湾など年1回の海外旅行に年数回の国内旅行を実施しているが、参加旅行代金は障害の有無に関わらず皆「同一」である。また、「障害のある人」と「介助ボランティア」という区別はなく、参加者同士、手の空いている人が誰かの足りない部分を補うことで運営されている。障害のある人とない人が共に食事をし、飲んで、旅して、お互いを知り合うことから自然にパートナーとして対等に尊重し合うようになるのである。また、車いす仲間、聴覚に障害がある人同士といった障害の内容によって組織されておらず、障害の有無、内容の違いも関係なく、共にバリアフリーな環境づくりに取り組む仲間として参加している。そのことは、お互いの障害を理解することにつながり、自身の障害を客観的に見ることができる効果を生むのである。

また、尊重し合う多様な障害のある人とない人が共に行動することによって想定外の日常や新たな知見を得ることができるのである。前述のように、介助する人とされる人という役割はなく、お互いが足りない部分を補い行動するのである。実例として、障害のない会員は、介助することで役立ちたいという意識で参加するが、車の運転のできない会員であれば、肢体不自由な車いす利用の会員が自家用車で送迎をしてあげる日常がある。さらに、視覚に障害のある人が車いすを押すことも日常である。視覚に障害のある人が車いす利用者の目を借りることによって両者とも安心して行動することができるのである。

さらに、「共に旅にでる」ことによって、障害の固定観念、思い込みに気付くこともできる。言語障害や脳性小児まひの人は、ややもすると知的能力が劣っていると思いがちだが、旅にでて共に過ごしていると実際には知的水準も高くユーモアに富んだ楽しい人であったりすることに気付かされる。また、視覚に障害のある人との旅は、鋭い感覚で風や空気・木や花などの香り、食物の匂いなど、普段気付かない嗅覚を言明することにより新たな旅の発見になるのである。あわせて、旅行地において地域の方々との交流を得やすいということも利点である。車いす移動を手伝ってもらったり、声をかけて励ましてくれたりと、これらのふれあいは、障害のある人との旅行だから起こりえるものである。そして結果、手伝ってくれた地域の方と、お願いをした障害のある人、双方の心が満たされることになるのである。

トラベルフリーの会の活動には、横浜駅・羽田空港などの施設の社会環境点検や、ホテルや専門学校での「接遇、バリアフリー理解講座」の開催などの社会活動も含まれる。なかでも突出した活動として挙げられるのが、クルーズツアーの周知である。2003年、商船三井客船「にっぽん丸」伊勢志摩クルーズ3日間の乗船体験とバリア点検を実施した。その結果、トイレのバリアフリー化と客室ドア幅拡張の提言が行われ、車いす利用可能客室が数室整備されたのである。さらに2012年には「レジェンド・オブ・ザ・シーズ」「ダイヤモンド・プリンセス」にも乗船し、外国船にはユニバーサルルームが数十室あり、障害のある旅行者に対し、差別のないサービスが提供される

ことなどを発信してきた。クルーズツアーが、障害のある人に適した旅行スタイルであることを啓蒙してきたことは大きな功績であるといえる。

 

4.結論

ここまで、インクルーシブツーリズムの定義、ならびに、インクルーシブ教育の概念を観光にも適応させる「共に旅する理念」について事例を検証してきた。これらの考察より、障害のある人とない人が「共に旅にでる」には、幾つかの旅行形態やその契約形態(募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行)が関係することが推察できる。以下、どのような旅行形態、契約形態ならば「共に旅にでる」ことが実践できるか、その適応可否を検証する。

一例目は、既知同士の集団のケースである。トラベルフリーの会のように、お互いを理解し既に人間関係が構築されていれば適応が可能である。勿論、家族や親族、カップルにも適応できる。また、お互いの人間関係が構築されずとも、同組織に所属する構成員同士であれば適応可能な状況を創り出すことができる。学校や職場などがそれに相当する。例えば職場旅行である。障害のある人が勤務しているセクションと、そうでないセクションのメンバーを含めた全社職場旅行が実施される場合などがそれに当たる。この状況での実施は、同じ会社に勤務をする障害のある仲間に対する配慮が共有できるかどうか、ということが重要となるのである。契約形態は、受注型企画旅行、手配旅行が基本となり、募集型企画旅行でも、2名催行の個人型のツアーや、同じ集団の貸切り利用であれば適応可能となる。

二例目から四例目は、未知の他人同士の集団のケースである。ここでいう未知の他人同士のツアーとは、出発地で初めて参加者同士が顔を合わせる募集型企画旅行のことを示している。

二例目はこのケースで適応可能な成功事例の「ごちゃまぜツアー」である。初対面である多様な障害のある旅行者との旅であるが、「障害のある人も普通なんだ。最初はどうサポートしようかと思っていたが気にならなくなった。純粋に面白かった」などの感想を得て、共に旅にでることにより偏見や差別が解消される好事例である。しかしこのツアーは、鹿児島中央駅発着での日帰りという限定条件のもとでの適応可能事例である。宿泊を伴わないという安心感や値ごろ感に加え、同じ鹿児島県人という連帯感がそこには存在する。つまり既知同士の集団ではないが、それに類する設定となっているのである。

三例目は、KNTやJTBの障害のある旅行者が、一般の募集型企画旅行に参加できる環境整備を図っている事例である。ただしこのツアーには、参加者全員の旅の目的の達成という条件がその成立要件となる。つまり障害のある人ない人どちらかが、あの人のせいで、と不満を感じてしまうことは適応可能という成立要件には至らないのである。そうならないためには、障害のある人が一緒に参加していたが違和感はなかった、逆に勉強になったという旅の実績を積み重ねていくことが、これからの観光に求められているのである。

四例目は、純粋な一般募集型企画旅行の事例である。自身の観光目的が妨げられない限り適応可能であるという視点もある。しかしながら通常の募集型企画旅行である団体旅行は、ツアー参加者全員が遅れを取ることなく旅程を進めることが基本とならざるを得ない。一分一秒たりとも無駄にできない世界遺産を巡り歩くようなツアーであれば、障害のある旅行者の参加には無理があることは否めない。また、価値観の相違から現実には意にそぐわない人間関係等も想定でき、結果、困難と判断せざるを得ない場合が考察される。

五例目は、クルーズツアーである。トラベルフリーの会杉山氏は、「クルーズ客船は移動とレジャー、食事、文化体験など一つの空間の中で生活しながら体験できる障害のある人に適した旅行スタイルである」と述べている。つまりクルーズツアーとは、乗船すること自体が、「共に旅する理念」の実践なのである。さらにその条件下において参加者それぞれの自由な旅を設定できるのである。チャーターによる受注型企画旅行もあるだろうが、大型客船に乗船するような募集型企画旅行が一般的であると考えられる。

上記検証結果により、多様な障害のある人とない人が「共に旅にでる」ことは、その参加形態と旅行契約形態が関係するといえる。そして、いかなる参加形態であっても、倫理的な変革を促すことによって、「共に旅する理念」を円滑に適応させる観光が、切望されるのである。そのためには、インクルーシブに含まれる「共に」の理念を観光に適応させていく試みを絶えず模索し続けていくことが必要となるのである。

そこで本論では、インクルーシブツーリズムの概念を含む、更なるユニバーサルツーリズムの定義を提言する。

ユニバーサルツーリズムは、「すべての人が楽しめるよう創られた旅行であり、高齢や障がい等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行」と定義され、インクルーシブツーリズムは、「あらゆる形態の疎外された人々や組織が観光の倫理的な生産または消費とその利益の享受に関与し参画する変革的な観光」と定義されている。あらゆる形態の疎外された人々には、高齢者や障害のある人も含まれる。また前述したインクル・ソリューションズ社のリチャードトンプソンは、アクセシブルツーリズムからインクルーシブツーリズムへの概念の移行を論じている。この提言は、アクセシビリティが、障害のある人を対象としていることが前提であるのに対し、障害のある人のみでなくあらゆる人への配慮の必要性を説いているものである。本論はこの提言を、障害のある人を対象とした概念が不要であるということを説いているのではないと理解している。それは、すべての人が利用できるデザイン(ユニバーサルデザイン)を優先した上で、さらに個々の障害のある人への対応をすべきである、という合理的配慮の概念を説いているものだからである。インクルーシブツーリズムの概念を推進した上で、アクセシブルツーリズムの概念で調整するのである。

すべての人を見据えた上での個々への調整、つまりユニバーサルツーリズムを促進していくには、高齢者や障害のある人に配慮をおこなうためにも、さらにすべての人への観光を適応させるべく、インクルーシブに含まれる「共に」の理念を高齢者や障害のある人にも適応させる必要があるのである。

そのことは、前述した国連から日本政府が受けた「インクルーシブ教育の権利を保障するための分離教育の中止勧告」からも社会の必要性として明らかである。

そこで本論ではユニバーサルツーリズムの定義を、「すべての人が」ではなく、「すべての人と楽しめるよう創られた旅行」と読み解き、認識することを提言する。障害のある人だけが旅にでるのではなく、障害のある人もすべての人と共に旅にでる定義への移行である。定義は時代と共に変化していくものである。すべての人が利用できるデザイン(ユニバーサルデザイン)を促進することは第一優先である。その上で個々への対応が必要なのである。それが合理的配慮である。「すべての人」といった大きな対象ではなく、障害のある人を限定対象として旅行促進をはかるユニバーサルツーリズムの概念の存在は必要である。その上で、「すべての人が」ではなく「すべての人と」読み替え改めて意識するのである。ユニバーサルツーリズムを、「すべての人と楽しめるよう創られた旅行であり、高齢や障がい等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行」と定義する。この「が」から「と」への一語の変革で、ユニバーサルツーリズムは、インクルーシブツーリズムの概念を含む、更なる概念となるのである。

多様な障害のある人とない人が「共に旅にでる」ことは、その参加形態と旅行契約形態が関係することを検証した。しかしながらどのような参加形態や旅行契約形態であっても「共に旅する理念」を実践させようとする創意工夫が必要なのである。観光には、教育や就業と並び自らの効果で共生社会を主導していこうとする意志が不可欠である。一語の変革を意識し、その意志に基づく実践が、観光により世の中を変容させていくことに繋がるのである。

 

謝辞

本研究は、介護旅行ナビ代表堤玲子氏、トラベルフリーの会会長杉山徹氏、インクル・ソリューションズ社を紹介いただいた、 デスティネーションアジアジャパンProduct部CSR & Experience Coordinator・Green Team Sustainability Leader 渋谷武明氏に多大なご協力をいただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 

 

参考文献

・一井崇(2019)「ユニバーサルツーリズムの新たな視点と地域形成における障害者雇用の役割」『日本観光研究学会観光研究』Vol.31、22ページ。

・ケアフィット推進機構(2020)『公式テキスト 旅のユニバーサルデザインアドバイザー』ケアフィット推進機構。

・島川崇(2019)『観光と福祉』成山堂書店。

・竹内敏彦(2022)「障害のある人の就労に関する一考察―バリアバリューによるホスピタリティー」『東洋大学観光学研究』第21号、51ページ。

・西村修一・久田信行(2018)『教師のための合理的配慮の基礎知識』明治図書。

・Darcy, S. & Dickson, T. (2009) “ A Whole-of-Life Approach to Tourism, The Case for Accessible Tourism Experiences. ” Journal of Hospitality and Tourism Management, 16(1), 32-44.

・Regina Scheyvens & Robin Biddulph(2017)“Inclusive tourism development”Tourism Geographies, DOI:10.1080/146688.2017.1381985.

・JTB総合研究所(2013)「[特別寄稿]世界経済フォーラム東アジア会議に参加して~社会のあらゆる人、組織を巻き込む、新しいツーリズム‟Inclusive Tourism”の可能性を考える~」

https://www.tourism.jp/tourism-database/column/2013/08/wef/

閲覧日:2022年2月28日。

・THE CONSCIOUS TRAVEL FOUNDATION(2021)

「CONSCIOUS CONVERSATIONS:INCLUSIVE TRAVEL」

https://www.theconscioustravelfoundation.com/stories/inclusive-travel

閲覧日:2022年3月2日。

 

プロフィール

たけうち としひこ

竹内 敏彦

東洋大学大学院国際地域学研究科国際観光学修士課程修了。(株)日本交通公社(現JTB)に入社し、企画造成・営業に携わる。日本国際観光学会・余暇ツーリズム学会正会員、旅行産業経営塾4期生、総合旅行業務取扱管理者、クルーズコンサルタント、サービス介助士、旅のユニバーサルデザインアドバイザー。著書に、「観光と福祉(共著)」「宿泊産業論(共著)」資格公式テキスト「旅のユニバーサルデザインアドバイザー(編著)」単著論文「ユニバーサルツーリズム促進に向けた考察-旅行業者の意識改革とその実践-」(日本国際観光学会論文集第26 号)「ユニバーサルデザイン、合理的配慮に関する一考察―障害のある人の結婚式を事例として―」(Kankokeizai.com2021年3月)「障害のある人の就労に関する一考察―バリアバリューによるホスピタリティー」(東洋大学観光学研究第21号)「ユニバーサルツーリズム促進に向けた考察―学校義務教育における合理的配慮からの検討―」(東洋大学観光学研究第22号)等。

 

 

 
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