
新型コロナウイルスのまん延による緊急事態宣言の発令が緩やかに解除に向かう中でも確実なことは、しばらくはコロナと共に生きていかねばならないということです。
今、この状況において、温泉が果たせる役割やその可能性はあるのでしょうか。20年以上、温泉を取材してその魅力を伝えてきた私には、知りたいことがたくさんありました。
そこでよく存じ上げています京都大学医学部附属病院免疫・膠原(こうげん)病内科の大村浩一郎先生に聞いてみました。
Q、温泉で感染するリスクはあるのでしょうか
「レジオネラ感染のように温泉で増殖するものではありませんので、温泉で感染するということは基本的にはありません。ただし、感染した患者が温泉施設にいた場合、やはり閉鎖空間、密集した場所、おしゃべりなどで感染する可能性はあります。また、多くの人が触るドアノブやスイッチなどにも注意が必要です。あまり混み合わない温泉施設であれば、感染のリスクは都会にいるよりも少ないかもしれません」
Q、ウイルスに効果的な泉質はありますか
「酸性泉はウイルス自体には有効ですが、体の中に感染してしまった細胞自体には温泉成分は効きません。体を温めることが重要ですが、高温の方がよいというわけではありません。湯疲れしてかえって免疫力を落とす可能性がありますので、41度程度の湯に20~30分というのが目安です」
Q、コロナウイルスに効果的な入浴法や浴場の温度設定はありますか
「比較的ぬるめのお湯に長く入る方が効果が高いと思います。ウイルスに感染しにくくするために口の中(口腔)、鼻の奥(鼻腔)、気道を湿潤に保つことは重要ですので、蒸気風呂はそれなりの効果があると思います」
Q、密室のサウナは感染のリスクが高くなりますか
「高温サウナ(70度以上)の中ではウイルスは死んでしまいますので、リスクは低いです。隣に座っているだけで感染するとは思いにくいですが、感染している人の唾を直接かけられたら感染してしまうかもしれませんので、密室という点では要注意です」
Q、コロナウイルス予防対策において、間違った知識があれば教えてください
「温水や温泉を大量に飲むことでコロナを予防できるというのは間違いでしょう。若者はかかりにくいというのは間違いです」
Q、宿泊施設の皆さんが心掛ける対応はありますか
「最も重要なのは体調の悪い職員は必ず休ませることでしょう。接待をさせないだけでなく、宿に来させないことが重要です。次にはこまめな消毒液(70%エタノールか0・1%次亜塩素酸)での拭き掃除です。みんながよく触る場所(ドアノブや化粧室のスイッチ、エレベーターボタンなど)はしょっちゅう拭きましょう。トイレなどでのタオルの共用はやめましょう。こまめな手洗いは重要です。接待するときにマスクをするのは現在の状況ではマナーとしても重要です。できるだけ多くの人が密集しないようにさまざまな場面で気を使ってあげることが大切です。食事のとき、チェックイン、チェックアウトのときなど。空気がこもりやすい場所は適宜、換気をしましょう。カラオケなどは閉鎖しておいた方がよいと思います」
今回は旧知の大村先生のご厚意でこうしたお言葉を頂戴しました。
読者の皆さんには、すでにご存じの事実や対応済みの話もあるかと思いますが、今、私が皆さんにお役に立てるかもしれないと思ってのこと。ご了承ください。
(温泉エッセイスト)