新型コロナウイルス感染拡大が懸念されています。
10月にコロナ感染症予防対策として独自のガイドラインを作った城崎温泉に取材に行ってきました。
城崎温泉は大正時代に大火で町が全て焼け落ちました。焼け野原から温泉街を再建した時に、「町をひとつの旅館とみなし、道が廊下、宿が部屋、外湯がお風呂」として共存共栄の精神で歩んできました。その団結力で、近年はインバウンドでも躍進していました。外国人観光客が来られなくなったいまは、コロナ対策を重点的に取り組んでいます。
「ただ与えられたガイドラインでなく、一斉休業している間に自分たちが独自に学びながら作ったガイドラインですので、完成した時点で深く理解できていました。営業を再開した6月からガイドラインを適用しました」。城崎温泉観光協会の高宮浩之会長のお言葉です。
旅館組合が最も課題にしたのは「体調が悪いお客さんが来たときにどうするか。帰ってもらうべきか」ということでした。
結論は、前日か前々日の予約の確認電話の際に、お客さんの体調も確認をして、もし体調が悪ければ無料でキャンセル可能だと伝えるようにしました。
そしてガイドラインは、いずれ戻ってくるであろう外国人観光客を意識して、ガイドラインは世界基準にし、アメリカのホテルチェーンも参考にすることで連泊の対策なども加えたそうです。
城崎温泉と言えば外湯巡りで知られていますが、その対策としては「入り口と出口を分ける」「入り口で検温する」「手の消毒」「入場制限(人が2メートル離れられる人数)設定」「脱衣所に消毒とふきんを常備」「アプリか組合のWebで混雑状況が分かるようにする」―などです。
浴衣でそぞろ歩きがしたくなる温泉地だからこそ、浴衣に似合う城崎温泉オリジナルの和風柄のマスクも作りました。豊岡の地場産業であるかばんメーカーと共同制作で3千枚製作し、6月下旬から宿に置かれています。
こうした城崎温泉の動きに刺激を受け、海水浴場のある竹野やキャンプ場を有する神鍋といった近隣の地域でも独自のガイドラインを作る動きが広がりました。
8月下旬には、豊岡市が旅館や飲食や外湯に加えて、海水浴やキャンプ場のアクティビティも包括した認証制度「CLEAN and SAFETOYOOKA」を確立させたのです。
認証されたお店や旅館の玄関にはポスターを掲示しています。お客さまへ対策をお知らせするためでもありますが、ポスターには具体的な対策項目が明記されているので、宿や飲食店に責任を持って実行してもらうことも目的の一つだそうです。
コロナ第3波が拡大し、Go Toトラベルキャンペーンの見直しも行われています。日々、刻々と状況が変わっていく中、読者の皆さんは落ち着かない毎日をお過ごしのことと思います。
本当にお疲れさまです。
今回、城崎温泉の取り組みの経緯をご紹介したのは、城崎温泉のような地道な努力と工夫を徹底していくことが最も大切ではないかと思った次第です。
(温泉エッセイスト)