まずはブランドを認知してもらったら、次は繰り返し利用してもらうよう、乗客をつなぎとめるための会員プログラムを充実させることが必要だ。会員プログラムとして多くの人が思い浮かべるのはポイント還元であろう。
航空やホテルの場合、「出張時に会社の経費で利用しマイレージやポイントを貯め、個人の旅行の際に利用する」という使い方が多い。だが、高速バス、とりわけ大都市間路線(第二の市場)においてははほとんどが帰省や旅行など個人で運賃を支払っている乗客だ。単純に運賃の1%程度を還元したところで、さほどの価値はもたらさない。
ただし、多数の業種で横断的に利用できる共通ポイントの場合は、さまざまなシーンで付与されるポイントを合算することが可能であるので人気が高い。同市場では平成エンタープライズの高速バスが、「Tポイント」を採用している。
共通ポイントを採用すると、付与されるポイントに加え運営会社への手数料負担も発生する。一方で、会員データベースを上手に活用し、ターゲットを絞り込んで効率よく高速バスの告知を行うこともできる(むろん、その都度、費用が発生する)。
逆に、自社独自の会員プログラムを構築した場合は、単純なポイント還元以外にもさまざまな方法でリピーターを優遇することができる。
WILLER EXPRESSでは、無料登録可能な一般会員とは別に、会費が必要な「プレミアム会員」制度を設け、後者については運賃が随時300円引きとなるほか、当日、上級座席に空席がある場合は無料でアップグレードできるなどの特典を用意している。さらに、会員向けのメールマガジンやSNSなどだけで告知される、予約期間限定の割引運賃なども好評だ。
「第二の市場」は、ウェブ予約の比率がほぼ100%という特殊な市場である。比較検討に常時さらされ、わずかな運賃差で選別される傾向が強いが、その中で、固定客の割合を少しずつ上昇させ、価格だけをキーにした競争から脱出することが重要である。
(高速バスマーケティング研究所代表)