ひと口に「バスターミナル」と言っても、明確な定義があるわけではない。自動車ターミナル法では「乗合バスの旅客の乗降のため、乗合バス車両を同時に2両以上停留させることを目的とした施設で、道路の路面や駅前広場など一般交通の用に供する場所以外の場所に同停留施設を持つもの」と規定されている。
同法によると、複数のバス事業者が乗り入れる「一般バスターミナル」と、乗合バス(路線バス、高速バスや定期観光バスを含む)事業者が自らの事業のために運営する「専用バスターミナル」に分類できる。
ただし、後者であっても共同運行先の事業者が乗り入れるケースもあるし、そもそも同法には該当しない停留所が、通称として「バスターミナル」と呼ばれることもある。
おそらく日本一有名なバスターミナルである「バスタ新宿」は、車路部分は「国道」扱いとなっており、自動車ターミナル法の対象ではない(厳密に言うとバスタ新宿は、タクシー乗降場や観光案内施設などを含む「新宿南口交通ターミナル」全体の愛称であり、高速バス乗降場部分の正式名称は「新宿高速バスターミナル」である。だが、繰り返しになるが、その正式名称にも関わらず自動車ターミナル法の対象外である)。
そこで、本稿では特に断らない限り、(1)乗合バス(そのうち、特に高速バスや定期観光バス)が多数発着する。なお、それとともにバスツアーなどの貸し切りバスが発着することもありうる(2)複数の発着バースが設置されている(3)発券、案内窓口が設置され、放送による案内があったり乗り場に案内スタッフが配置されているなど、乗客が人による案内を受けられる│という条件を満たした箇所をバスターミナルと呼び、そのうち、特に高速バスの発着が多いものを「高速バスターミナル」と呼ぶこととする。
(高速バスマーケティング研究所代表)