高度経済成長期と異なり、今後、都市部におけるバスターミナルの整備は、自治体など公的セクターが中心となるものと考えられる。東京駅前、三宮駅前(神戸市)などで自治体などが中心となって高速バスターミナルの整備が進みつつあるほか、駅前再開発などによって駅前広場ロータリーが整備されバスターミナルに準じる役割を果たすことも多い。
先週ご説明したように、バスターミナルの発着枠はバス事業者の「営業権」と直結することから、ターミナルを整備する主体である皆さまには、以下の2点を求めたい。
まず、公平性の観点から、後発事業者が参入を望んだ時に提供できるよう発着枠に余裕を持たせておくことである。
バスターミナル(駅前広場のロータリーも同様)を新設するにあたって、既存のバス事業者にヒアリングを実施し、現在の発着便数を前提に施設の設計が進むことが多い。しかしながら、特に高速バスの需要が大きい地区では、高速バス路線を新設したいのに停留所を確保できないために断念している参入希望者がいるはずである。
道路環境などの理由で停留所の新設が関係諸機関から認められない場合、既設停留所の発着枠は、結果として既存事業者の「既得権」となり新規参入を拒む障壁と化しているのである。
むろん、既存事業者の便数も、増加することが考えられる。「バスタ新宿」を例にすると、計画がスタートした時点と比べると、開業時点で新宿地区の高速バス発着便数は約7割も増加していた。
それゆえ、新たに同所への乗り入れを希望する事業者(まったくの新規参入を希望する事業者のほか、池袋など他のターミナル駅で停留所を確保しているが、できれば新宿に乗り入れたいと希望している事業者など)をまったく受け入れられない状況となっている。既に乗り入れている事業者の新路線開設や増便も困難である。
計画時点で、将来の発着便数を慎重に見積もることが重要である。
(高速バスマーケティング研究所代表)