【年頭所感】国際観光日本レストラン協会 会長 安田眞一


料亭文化もしっかり守る

 2020年は東京オリンピック・パラリンピックが1年間延期され、コロナコロナで明け暮れた1年でございました。コロナ不況の中、「Go Toトラベルキャンペーン」が始まり、年末年始の売り上げに一縷(いちる)の希望を持っておりましたが、全国一斉停止となり、急に梯子(はしご)を外された感じです。観光の持つ影響力の大きさを如実に感じ、菅義偉首相も謝罪なさったようですが、後の祭りとはこのことです。

 アメリカ合衆国では、30万人の死者が出て、大変な状況ですが、3月までに1億人にワクチン摂取をするとのことでございます。アメリカ大統領の就任式もオンラインで行うという話もございます。

 パリではレストランのシェフが、「緊急事態宣言を解除して仕事をさせろ!」とデモ行進をしたとか。大変厳しい現状でますが、日本の感染状況は欧米とは比べようもないほど軽微であることは間違いございません。日本でも早くGo Toキャンペーンを再開し、経済を動かしてもらいたいものでございます。

 世界的に高評価を得ている、四季折々の旬の味覚を生かした日本の食文化はもちろんですが、舞妓や芸妓に象徴される伝統的なおもてなし文化である料亭文化を、無形文化遺産としてしっかりと守っていかなければならないと考えております。

 飲食店グルメ情報サイト「ぐるなび」の創業者である滝久雄さんが、食文化の振興など、文化芸術活動に多大な功績を残されたとして、20年度文化功労者に選ばれました。また母校の東京工業大学に、隈研吾氏設計による外国人留学生と日本人学生の交流拠点として「Taki Plaza」をお造りになり、竣工祝賀会が盛大に開かれました。公共事業の1%を芸術文化に投資することを義務付ける制度「1%forArt」の実現を提唱なさっていらっしゃいます。ぜひとも法制化を実現していただきたいと思います。

 コロナ禍で開催自体躊躇(ちゅうちょ)されたこともあったようですが、厳重な感染症対策の中、素晴らしいお祝い会でございました。5人掛けの円卓は隣りとの境をアクリル板でしっかりと隔てられ、エグリ・ウーリエのシャンパンが大変おいしゅうございましたが、隣との会話はもっぱらアクリル越しで寂しい限りでございました。

 6月ごろまでには、ワクチンや特効薬も普及し、東京オリンピック・パラリンピックも開催できると希望的観測をしております。アスリートの躍動感あふれる活躍が、日本に元気を与えてほしいと期待しております。

 「1年前はひどかったなぁ」とコロナ時代を懐かしく思い出したいものでございます。ご家族さまをはじめ、御一党さま、社員の皆さま、そしてお客さま皆さまのご無事と、ご健勝を心よりお祈り申し上げます。

 ところで新年を迎え、新型コロナウイルスの名称は何となるのでしょうか。「中国ウイルス」でしょうか、それとも「スペイン風邪」のごとく「中国風邪」でございますか?

 
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