本連載でもたびたびつづってきたVJ大使の皆さんとの交流は、いまも大切にしています。先日も、関東在住のVJ大使の皆さんとお会いして、インバウンド最新事情を聞いてきました。その中で日本の玄関口である成田空港での話題がとても興味深かったので皆さんにご紹介します。
成田国際空港ツーリストインフォメーションセンターにいる辻村由佳大使のお話です。
「LCCや民泊が拡大した影響もあると思いますが、最近ご家族連れの外国人旅行客が多くなりました。お子さま連れ2家族のグループや、3世代ご家族などで5~6人で来られるケースが増加しています。一緒に移動したいのでジャンボタクシーを希望されることが多いのですが、台数がまったく追いついていません」。
また新しい動きとして、「車椅子をお使いのお客さまも増えました。現在は月に2、3組は見かけます。おひとりで来られる方もいますし、複数の車椅子利用者と介助者のグループ旅行もいます。皆さん個人旅行で、移動や観光施設などの情報を日本に来られてから調べる方も多いのですが、私たちには現在ご案内できる情報が不足しています。バリアフリー情報を横断的に検索できるシステムがほしいですね」。
これらの話から、訪日外国人の旅行形態がどんどん変化してきているのが分かります。団体旅行を誘致すればよかった時代はもうずいぶん前のこと。いまは個人旅行者が増え、家族連れに形態が移行しているようです。それに対して、お客さんが希望するサービスが追い付いてない状況でしょうか。
温泉についてのよくある質問やトラブルなども聞いてみました。
「以前と比べたら、温泉への違和感はだいぶ減ったと思いますが、それでも『真っ裸というのは抵抗があるので、湯あみ着を着て入れる温泉はあるか』というような質問はまだあります。温泉の楽しみ方についての啓蒙がまだ足りないのかもしれません」。
入浴については、「初めての人にはハードルが高いようで『入り方を教えてほしい』という声はよくあります。“真っ裸で入る”ということは知っていますが、かごやロッカーに脱いだものを入れてフェイスタオルだけを持って浴室に入る、お湯にもぐらない、シャワーは下向きに使う、脱衣場に出る前に軽く体を拭くなど日本人にとっては当たり前のことがありますよね。初めて訪日するお客さまが増えたせいか、不安に思っている人が多いように感じます」。
一時期話題になった入れ墨のある人の温泉入浴については、貸し切り温泉を利用できるなら、それほど困ることはないそうです。ただ、「外国では異性の親子でさえ一緒に入浴する文化がないので、小さい子供が異性の他人と一緒にお風呂に入っていることに違和感を覚える人もいるようです」。
さて、毎年、有志で開催するVJ大使の集いも今年で6回目になります。VJ大使設立10周年を記念して、今年は9月に東京都新宿区で行います。東京開催ですので、ご興味ある方はぜひご参加ください。
(温泉エッセイスト)