【旅に出よう~温泉はにっぽんの宝~76】外国人が好きな自然体験、それは「露天風呂」! 山崎まゆみ


 先月開催された「国際インバウンドリーダーズサミット2017in東京」のパネルディスカッションに登壇しました。サミットは、午後1時~午後6時40分まで3部構成に分かれ、日本政府観光局の松山良一理事長、観光カリスマの山田桂一朗氏、デービット・アトキンソン氏の豪華な3人が、それぞれのテーマで50分ずつ講演され、その後にディスカッションという濃密な時間でした。

 日本インバウンド連合会理事長の中村好明さんが「インバウンドは観光だけではない。日本に集まってくる人・物・金・情報の全て」と説かれるように、参加者は地方自治体の観光行政や旅行業に携わる皆さんだけでなく、マスメディア、メーカー、通信、小売と多種多様な皆さんが全国から300人も集まる大盛況ぶり。インバウンドが産業となってきていることを肌で感じた1日でした。

 松山氏は「これから地方の時代。その魅力は外国人が発掘している」とタイ人が見つけた富士山の絶景の写真を解説して下さり、山田氏は「観光客の入り込み数でなく、消費額。地域で稼ぐ力を引き出す。経済の波及効果が大切」、アトキンソン氏は、「世界からお客さんが来る『条件を満たす希有な国、日本』」とスライドを写しながら、「自然」「気候」「文化」「食事」の日本が持つ好条件を示し、しかしながら「日本はまだまだだ」と、厳しく説かれました。

 さらに「外国人が日本にやってきて求めているのは自然体験。文化体験はそれほどお金にならない。自然はアクティビティのかたまり。体験とセットで宿泊料金の価格帯をもっと上げたら、消費額を伸ばせるはず」とアトキンソン氏は熱を込めて語りました。

 自然体験という言葉からは、山なら本格的なトレッキングから周辺散策、海ならシュノーケリングにダイビング等が思い浮かびますが、やはり温泉です! 露天風呂こそが自然体験です。

 私も、日本の温泉を世界の皆さんに伝える仕事は、全国の露天風呂を案内した本を台湾で出版したことに始まります。台湾の出版社からは「台湾人は雪と露天風呂に強く惹かれるので、雪の露天風呂の写真を集めてほしい」とリクエストがありました。多数の雪見風呂の写真を集めた中から、本の表紙に選ばれたのは、2月に北海道道央の温泉地の露天風呂に私が入っている1枚。よく見ると髪や眉毛などがうっすら白くなっている。湯気で顔にある毛という毛が全て凍っている、実は鼻毛も凍っていたのです。日本人からは「寒そう」と思われる写真でしたが、台湾の編集者はこれしかない! と即断。

 自然景観を裸で楽しめる日本のアミューズメントとしての露天風呂。外国人に向けて、四季折々の「露天風呂」カタログを制作したくなりました。

(温泉エッセイスト)

 
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