先月、アメリカコロラド州で温泉巡りをしてきました。中でも印象的だったパゴサホットスプリングスは、コロラド州の南に位置します。パゴサとは先住民であるユート族の言葉で“ヒーリングウォーター”を意味します。古来より、先住民を癒やしてきました。
源泉は世界で最も深い地熱層から湧きだしているということで、2011年8月にギネスに登録。その深さは305メートルまで測定されましたが、現在はそれ以上測定する機械がないということで、正確な深さはわかっていません。総湧出量は毎分300ガロン(1135リットル)。この源泉から引湯して24時間入浴できる大小23もの温泉プールがあるホテルや2カ所の立ち寄り入浴施設が利用しています。
アメリカでは水着を付けて入浴するのが一般的。日本の温泉のように湯船につかるのとは少し意味合いが異なり、湯船をプールと呼び、基本的には水着を付けて入浴しますし、泳ぐ姿もちらほら。
バリアフリー観光において、最も先進国であるアメリカのバリアフリー温泉も見学しました。ちなみに日本で使用するバリアフリーに値する言葉は、アメリカではACCESSIBLEです。街で一番大きなホテルの温泉プールも階段や段差だらけ。この温泉入浴施設をどう克服するのかと、最初は疑心暗鬼でした。
まず駐車場入り口には、ACCESSIBLE専用のゲートがありました。正面玄関とは異なりますが、駐車場の目の前です。最もアクセスのよい位置です。
このゲートにはベルがあります。こちらのベルを鳴らすと、スタッフが来るそうです。特に予約もなく、突然やってきてこのベルを鳴らせばいいそうです。段差のある所はいたるところでスロープはありました。
アメリカではAmericans with Disabilities Act(略してADA)という法律があり、現在、温泉だけでなくプールにも必ずチェアーリフト(機械式の入浴介助機具)の設置が義務付けられています。
もちろんパゴサホットスプリングスのホテルにもありました。ホテルの中でも一番大きく、温泉の温度が低く設定してあるプールにありました。水着と浮輪を付けた子供たちが遊びまわる姿があります。
「先日、身体が不自由な子供がチェアーリフトを使いました。周囲も同じ年代の子供たちが普通にプールで遊んでいたので、チェアーリフトを利用した子供も周りの子供たちの輪に入っていけて、それを見ていた周りの大人たちやスタッフたちも、ホッとなごみ、拍手まで起きましたよ」
せっかくだからと、私もチェアーリフトを体験。ゆっくりとした動きで、プールサイドから温泉の中に入っていきました。操作はとても簡単。左右、上下に動かすボタンは四つのみでした。(次回に続く)
(温泉エッセイスト)