新型コロナウイルス感染症に対する事業者支援策がさらに拡大された。「令和2年度補正予算の成立を前提として打ち出された措置」(4月13日時点)を含め、旅館・ホテルの事業継続に関わるものを抽出する。なるべく分かりやすくお伝えしたいが、誤解を生むといけないので、一部公表されている文言通りとなることをご容赦いただきたい。
(1)信用保証付き融資における保証料・利子の減免
小欄〈114〉でもお伝えした「セーフティネット保証4号」(全国47都道府県対象、別枠で最高2.8億円まで100%保証)、および「危機関連保証」(全国、以下同)について、小・中規模事業者に対し、売上高15%以上減少なら最高3千万円までの融資(据置5年以内)に、保証料ゼロ、無担保、当初3年間実質無利子(4年目以降は制度融資所定金利)が適用されることになる。また信用保証付き既往債務も、制度融資を活用した実質無利子融資への借り換えが可能となる。
(2)日本公庫等の利子補給と既往債務の借り換え
日本政策金融公庫などの「新型コロナウイルス感染症特別貸付」「新型コロナウイルス対策マル経融資」、および商工中金などによる「危機対応融資」の借り入れで、小規模事業者は売上高15%以上減少で3千万円、中小企業者は同20%以上減少で1億円を上限に、当初3年間の利子補給が受けられる。またこれら機関からの既往債務の借り換えも実質無利子化の対象となる。
(3)持続化給付金
すでにマスコミなどで盛んに報じられているが、新型コロナウイルスの影響で売上高が50%以上減少している中堅、中小企業には200万円、個人事業者などには100万円が、減少売上の範囲で給付される。補正予算成立後1週間程度で申請受付開始、電子申請なら申請後2週間程度で支給されることになる予定。
(4)雇調金の特例拡大
ⅰ…支給限度日数
普通は1年間で最高100日だが、4月1日~6月30日までの期間はこれとは別枠。つまり1年間で、100日+91日=191日まで利用が可能となる。
ⅱ…短時間休業
「短時間休業」は、全員一斉に行わなくてもよいことになった。次のような例が示されている。
(1)立地が独立した部門ごとの短時間休業(部署、部門ごとの休業)、(2)常時配置が必要な者を除いた短時間休業―(例)ホテルの施設管理者などを除いた従業員の短時間休業、(3)同じ勤務シフトの労働者が同じ時間帯に行う短時間休業。
このほか、「休業規模」要件の緩和、「残業相殺制度」の当面停止、申請書類の大幅な簡素化などの措置が加えられた。
なお申請にあたり提出する「助成額算定書」に、「前年度の所定労働日数」を記入する欄がある。これについて「記入要領」を読むと、「休業等協定による休業手当等を算定するために、賃金の日割り計算をする際に、所定労働日数によらず、所定労働日数より大きな任意の日数や暦日数を用いる場合は、365日と記入してください」とあるが、これを365日とすると1人1日当たりの「平均賃金額」は(つまり休業手当額も助成額も)かなり少なくなる。これをどう捉えるかは経営者の考え方次第だが、重要な留意点である。
(株式会社リョケン代表取締役社長)